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On the Production
by 井口健二
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■ジュピター、Mommy マミー
する。
そのワイドに広がる瞬間は、正に主人公らの溌剌とした心情
を観客も共有できるものだ。しかしそれがワイドに広がった
瞬間、観客は同時にまたこれが狭まってしまうのだろうかと
いう不安にも捉われる。
そんな観客の心理をも見事にコントロールしてくれる作品。
審査員特別賞を同時受賞したゴダールの作品は3Dへの果敢
な挑戦だったが、本作はその挑戦にも匹敵する新たな映像表
現の創造と言えるものだ。
出演は、グザヴィエ・ドラン監督の2009年『マイ・マザー』
と2010年『胸騒ぎの恋人』に出ていたアンヌ・ドルヴァル。
『マイ・マザー』と『わたしはロランス』に出演し、後者で
カンヌ国際映画祭“ある視点”最優秀女優賞に輝いたスザン
ヌ・クレマン。それに『わたしはロランス』に出ていたアン
トワン=オリヴィエ・ピロン。常連とも言える顔触れがしっ
かりとしたアンサンブルを描き出している。
映画は2014年の製作だが、物語の背景は2015年で、そこには
ある架空の法律がキーとして描かれている。そのような法律
を生み出す土壌がカナダにあるのかどうかは不明だが、その
辺の拘りがちょっと気になる作品でもあった。
公開は4月25日から、東京は新宿武蔵野、ヒューマントラス
トシネマ有楽町ほか、全国順次上映となる。
03月08日(日)
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