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On the Production
by 井口健二
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■忘れないと誓ったぼくがいた、スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号、東京 アニメアワードフェスティバル2015
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『忘れないと誓ったぼくがいた』
2004年、第16回日本ファンタジーノベル大賞の受賞作により
デビューした平山瑞穂が2006年に受賞第2作として発表した
同名長編小説の映画化。
その存在が周囲の人から忘れられてしまうという宿命を背負
う少女と、彼女に恋をしてその存在を忘れまいと努力をする
少年の姿を描いた、設定から言うとファンタシーなのかな?
でも、物語の中でも「人の存在は忘れられるもの」というよ
うなセリフが出てくる。
物語の全体はアルツハイマーの裏返しのような設定で、自分
がその症状の親族を持っている身としては、切なさも湧き上
がってくる設定と言える。その辺がこの物語に巧みな陰影を
与えているようにも感じられるし、僕がこの作品に何かを感
じたのは、そんなところもあるのかな。
しかも現実界で忘れられるのは僕自身であって、そんな現実
の哀しさが特に少女の側に投影できるから、僕には本作への
思い入れが激しくなっているのかもしれない。従って評価が
甘くなっているだろうなとは、自分でも思ってしまっている
ところだ。
主人公の少年は高校生。映画監督志望らしくレンタルDVD
で過去の名作などの鑑賞にも余念がない。そんな主人公が期
限ぎりぎりのDVDを返却に店に急いでいるとき少女に遭遇
する。そして少女が落したペンダントを何気なく手渡したと
き、少女は複雑な表情をして姿を消す。
そんな少年と少女は学校で再会する。ところが隣のクラスの
はずの少女に少年は見覚えがなく、実際の隣のクラスの級友
たちも彼女の存在を記憶していない。それでも彼女が気にな
る少年はいろいろな場所に彼女を連れて行くが、行った先々
で彼女の存在は疎まれてしまう。
状況自体は普通ではないが、もしこれが現実に起きたら多分
少年もその周囲の人々の反応もこんなもんだろうな、そんな
感じの物語が展開されて行く。しかも映画の舞台は神奈川県
秦野市で、近隣の平塚市で生まれ育った者としては親しみも
湧いてくるものだった。
因に秦野にはかつて「湘南軌道」という軽便鉄道があって、
昭和初期には廃止されて、今ではその存在も忘れられている
という鉄道マニア的な思い入れも、何となく本作の物語に重
なってしまったものだ。もちろんこれは偶然の産物なのだろ
うけど。
出演は、2011年1月紹介『市民ポリス69』や昨年『百瀬、
こっちを向いて。』で素晴らしい演技を見せてくれた早見あ
かりと、俳優村上淳を父に持つ2世俳優の村上虹郎。他に、
西川喜一、渡辺佑太朗、大沢ひかる、池端レイナ。さらにち
はる、ミッキー・カーチスらが脇を固めている。
脚本と監督は、2009年5月紹介『刺青/背負う女』などの堀
江慶が担当した。
公開は3月28日から、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
ほか、全国順次上映となる。
『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』
1971年にスタートし、現在は『仮面ライダードライブ』が放
送中の長寿テレビ特撮シリーズからの劇場版。
放送が始まった頃の僕は大学生で、SFのファン活動もして
いたからテレビシリーズは観る機会がなかった。それ以降も
まあ食わず嫌いというか、そんな感じでテレビシリーズも劇
場版も観ないでいた。それが今回はいくつかの要件が重なっ
て遂に初鑑賞となったものだ。
そのため通常のテレビシリーズを観ないで鑑賞することには
一抹の不安もあったが、取り敢えず新たな情報は入れずに試
写を鑑賞した。その感想は、これなら部外者でも楽しめるの
ではないかな。ショッカーとの関連性なども基本的な設定を
知っていれば鑑賞に支障はないものだった。
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03月15日(日)
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