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On the Production
by 井口健二
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■THE LAST GENESIS 〜40年の軌跡と奇跡〜、大津波3.11未来への記憶
そんな中で語られるのは、目の前で失われた家族への追慕と
その思いを未来へ語り継いでいく覚悟だ。そんな被災者への
インタヴューが、最初は瓦礫ばかりが目立つ中から、徐々に
整地されて行く風景と共に3Dで描かれる。
それは改めて見ていても胸につらく突き刺さるものだし、そ
こに表される人間の姿は永遠に心に残り続けるものとして受
け止められた。そしてそれを語る人々の覚悟もひしひしと伝
わってくるものだった。
その一方で本作では、警察や海保や自衛隊などの公的な記録
も紹介される。そこでは津波が襲う中を命令を受けて発進し
て行く艦船の様子も伝えられ、その凄まじい緊迫感には正し
く現実を目の当たりにする感じもした。
脚本と監督は、2012年9月紹介『天のしずく』の河邑厚徳。
人間の営みを見つめるドキュメンタリストによる劇場公開は
第2作となるようだ。
ところで試写会の会場には本作の撮影監督で総合プロデュー
サーでもある智片通博氏が来場していて、上映後に話す機会
があった。氏はドキュメンタリーは「3Dで撮るべし」とい
う信念の持ち主で、それは僕も同感のものだ。
実はこの後にヨーロッパの山岳地帯を空撮したドキュメンタ
リーを観ていて、その中の何カットかが凹凸を俄かに把握で
きず戸惑ったもので、その点からもドキュメンタリーは3D
が適切と再確認した。
ただ氏は、昨年12月紹介した『ヴァチカン美術館』に関して
は「あそこまでやるのは…」という意見だったが、本作にお
いて記録映像を3D化するのは論外としても、切り抜きで挿
入される絵画は3D化しても…とは思ったところだ。
公開は3月10日に「国連防災世界会議」(仙台)と、3月11日
に「阪神・淡路大震災語り部のつどい」(神戸)でイヴェント
上映の後、一般公開は3月14日から仙台シネ・ラヴィータ、
神戸OSシネマズハーバーランド。さらに21日からは東京の
ヒューマントラストシネマ渋谷他で全国順次上映となる。

02月22日(日)
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