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On the Production
by 井口健二
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■アイ・フランケンシュタイン、ALL YOU NEED IS KILL、ドライブイン蒲生
果たして彼の存在は、地球を危機的な戦況から救うための切
り札となるものなのか?
共演は、2012年10月に紹介した同じく時間ものの『LOOPER』
にも出ていたエミリー・ブラント。本当は2006年『プラダを
着た悪魔』などの…と書くべきのようだが、今回もジャンル
作品に出ているというのは本人が好きなのかな?
他に、2002年10月紹介『フレイルティー/妄執』などのビル
・パクストン、『ハリー・ポッター』シリーズでマッドアイ
・ムーディ役などのブレンダン・グリースンらが脇を固めて
いる。
本作の展開で主人公の死はPCゲームにおけるリセットボタ
ンであって、つまりアクションRPGなどでいろいろな攻略
法を探りながら失敗したらリセットして最初からやり直す…
そんな気分が描かれている作品だ。
実際に原作者の桜坂はゲームマニアだそうだから、そんな中
から着想は得ているのだろう。そしてそれは小説や映画では
確かに珍しい展開だし、それが評価されてハリウッドの大作
にまで上り詰めたのは素晴らしいところだ。
ただし、その後に事情に精通した博士が登場したり、それに
よって劇的な進展がもたらされるのは、物語の展開としては
ちょっと安直な感じがしてしまうし、もっと別の話の進め方
があったのではないかとも考えてしまう。
他にも、最後の攻撃の前ではもっと主人公に葛藤があっても
よいようにも感じるが、所詮ライトノヴェルと言うことでは
この程度が読者に合わせたレヴェルなのだろう。もっともこ
の辺の話は原作にどこまで書かれているのか不明だが。
因に映画の脚本は、1995年『ユージュアル・サスペクツ』で
オスカー受賞のクリストファー・マッカリーと、ライマン監
督の2010年『フェア・ゲーム』を担当したジェズ&ジョン=
ヘンリー・バターワースが手掛けている。
公開は7月4日から、2D/3Dで全国一斉のロードショウ
となる。
『ドライブイン蒲生』
2011年10月紹介『指輪をはめたい』の原作者でもある芥川賞
作家伊藤たかみによる同名の小説の映画化。
物語に登場するのは、街道沿いの寂れたドライブインに居る
蒲生家の姉弟。ドライブインは父親の経営だが、特にうまい
料理を出す訳でもなく客足は途絶えている。因に蒲生家は、
船客相手のくらわんか船の末裔だそうだ。
そんな蒲生家の父親はいつも飲んだくれて、それに反発する
姉は髪を染めヤンキーの道を歩んでいる。反発しても何もで
きない苛立ち…。そして妊娠した姉は家を飛び出す。そんな
一家は、周囲からバカと蔑まれ続けている。
やがてその父親が亡くなり、姉が幼娘を連れて帰ってくる。
久し振りの再会で言葉を交わす姉弟。その胸に去来するのは
何故か大嫌いだった父親の姿だった。そして葬儀の後、姉は
DV夫との最後の話し合いの席に向かう。
出演は、2012年10月紹介『横道世之介』などの黒川芽以と、
2010年10月紹介『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』など
の染谷将太。それに友情出演の永瀬正敏。他に猫田直、平澤
宏々路、吉岡睦雄、小林ユウキチらが脇を固めている。
監督は、永瀬の映画デビュー作『ションベン・ライダー』の
カメラマンだった田村正毅。本作は75歳での監督デビュー作
(たむらまさき名義)となっている。脚本は、たむらが撮影
を担当した『ゲゲゲの女房』などの大石三知子。
自分にも娘と息子の2人姉弟がいるから本作の親の立場は気
になるところだ。自分は周囲から蔑まれるようなことはして
いないと思うが、自分のしてきたことに対して子供たちが本
心で何を思っているかなどは判らない。
だからこの父親が無骨ながらも子供たちを愛しているのに、
それを子供たちに理解されない姿と言うのは、やはり胸に突
き刺さってくる作品だった。もちろん自分はこんなではない
と信じているにしても。
正直なところは、映画の前半は飲んだくれの父親とヤンキー
の娘という図式で、またそんな作品かという思いだった。し
かし映画が進むに連れ父親の無骨な愛情が仄かに見え始め、
それが物語に1本の筋を通して行く。
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06月08日(日)
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