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On the Production
by 井口健二
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■ブラジリアン・ホラー、インフェルノ 大火災脱出
妻の通う産婦人科も所在していた。こうしてダーグンは最後
のそして最も危険に任務に向かうことになる。
ダーグンを演じるのは2012年12月紹介『奪命金』などのラウ
・チンワンと、クンを演じるのは2012年7月紹介『強奪のト
ライアングル』などのルイス・クー。現在の香港映画界を牽
引する二大スターの共演だ。
他にパン兄弟の出世作『The EYE』に主演したアンジェリカ
・リー、2012年11月紹介『ブラッド・ウェポン』などのクリ
スタル・リー、「初夏のパン祭り」中『冷血のレクイエム』
などのチョン・シウファイらが脇を固めている。
高層ビルパニックという内容情報でこの邦題を見ると、僕ら
の世代では特に片仮名の部分で、1974年『タワーリング・イ
ンフェルノ』を思い出してしまう。そんなことを気にしなが
ら作品を鑑賞していると、これが実にパニック映画の名作に
思いを寄せる作品だと理解できた。
実際に、2人の主人公がビジネスマンと消防隊長というのは
オリジナルと同じ(それが兄弟なのは監督たちの反映?)だ
し、火災の発端が電気系統であったり、その後も隣のビルか
ら空中の脱出路が作られるなど、オリジナルを意識した状況
が次々に登場する。特に結末にはニヤリとさせられた。
これはもはやパン兄弟による『タワーリング…』へのオマー
ジュ以外には考えられなくなったものだ。しかも結末では現
代には即さなくなった部分を、巧みにアレンジして現代化し
ている。
その一方で映像には、パン兄弟が名を上げたタイのスタッフ
が協力して、お得意の爆発シーンはそれは見事に描かれてい
る。さらにオリジナルの当時はなかったCGIの炎には、何
と言うか怪しい艶めかしさがあって、これもパン兄弟の演出
と言えそうだ。
物語には中国映画らしい人情味もたっぷりあり、最近は同種
の作品が他国からも公開されているが、本作はその中でも群
を抜く一級のエンターテインメントと言える作品だ。
公開は6月21日から、東京はシネマート六本木ほかで、全国
順次ロードショウとなる。
06月01日(日)
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