ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459965hit]

■シャドウハンター、サード・パーソン、ディス/コネクト、飢餓海峡、A.F.O
と騒ぎ出し、その金が拉致された娘を取り戻すための身代金
だったと詰め寄ってくる。こうして事件に巻き込まれた男性
は彼女と共に拉致犯の許へ向かうことになるが…
そして3番目の登場人物は、ニューヨークで昼メロに出演し
たこともある女性。彼女は我が子への暴行を理由に夫と離婚
し、親権も奪われた。そして接近禁止の裁定も出されそうに
なっているが、その審判の席に遅刻してしまう。
こんな3つの物語が錯綜して展開され、互いが微妙に絡み合
いながらそれぞれの結末へと向かって行く。ただしその繋が
りは極めて薄くて、3つの物語はそれぞれ独立と言って良い
ものだ。
出演は、リーアム・ニースンと2010年12月紹介『トロン:レ
ガシー』などのオリヴィア・ワイルド。エイドリアン・ブロ
ディと2009年2月紹介『サスペリア・テルザ』に出ていたと
いうモラン・アティアス。それにミラ・クニスとジェームズ
・フランコ。
他に、マリア・ベロ、キム・ベイシンガー、モデルとしても
活躍するロアン・シャバノル、2007年1月紹介『ブラッド・
ダイヤモンド』に出ていたというデヴィッド・ヘアウッド、
子役のオリヴァー・クラウチらが脇を固めている。
題名を見て最初に思い至ったのは『第三の男』“The Third
Man”かな。でもTheは付いていないし、ManとPersonの違い
も微妙なところだ。そんな訳で、この第3の人物が気になり
ながら試写を観に行った。
その第3の人物は、映画の中には何人かの対象はいるが、具
体的に画面に出てくるのはブロディのエピソードだけかな?
逆にニースンのエピソードでは、その対象がかなり微妙な扱
いになる。
そんなハギスの仕掛けにも翻弄されながら、観客は物語の中
を彷徨って行くことになる。そして最後に多少の希望が見え
て終わるのは、『クラッシュ』の時にも感じたハギスの暖か
さのようだ。
かなり複雑な構成の作品だが、本当の意味での映画を堪能で
きた気分になれた。
公開は6月、TOHOシネマズ日本橋ほかで、全国ロードショウ
となる。

『ディス/コネクト』“Disconnect”
ネット犯罪を軸に複数の登場人物たちが多層に交錯するアン
サンブルドラマ。
そのネット犯罪は、ブログを使ったちょっとした悪戯から、
スパイウェアを使った預貯金の奪取まで、さらにネットで性
を売る若者や、それを取材して名声を得ようとするマスコミ
など、実に様々な側面が描かれる。
最初に登場するのは弁護士の一家。父親は食事中も連絡待ち
のスマホから目を離せないが、子供たちも特にトラブルがあ
るようにも見えない。しかしその息子は実は孤独で、ネット
を介して1人の女性と繋がっていると思っていた。ところが
そのチャットがやがて重大な事態を引き起こす。
一方、子宝に恵まれない夫婦の妻がネットでアドヴァイスを
受けている。ところが突然カードの支払いを停止され、それ
は彼女が接続したサイトからスパイウェアを送り込まれたた
めと判明する。しかし警察の動きは遅く、破産に追い込まれ
た夫婦はネット専門の私立探偵に調査を依頼するが…
さらにネットのポルノサイトに目をつけた女性レポーターが
1人の若者のインタヴューに成功する。それは地方局から全
国ネットにも紹介され、彼女は一躍名声を得るが…。FIB
がその犯罪を摘発するため、彼女にニュースソースの開示を
求めてくる。
こんな物語が、それぞれの登場人物たちを微妙に交錯させな
がら巧みな展開で描かれて行く。しかもそれらが正に身近に
起きていてもおかしくないようなリアルさで描かれ、現代の
ネット社会の裏に潜む危険が見事に描き出されていた。
出演は、2011年9月紹介『モンスター上司』などのジェイス
ン・ベイトマン、2011年4月紹介『ザ・ホークス』などのホ
ープ・デイヴィス、2012年『THE GREY』などのフランク・グ
リロ、2010年7月紹介『ミレニアム』などのミカエル・ニク
ヴィスト。
また2011年12月紹介『ミッション・インポッシブル/ゴース
ト・プロトコル』などのポーラ・パットン、2013年5月紹介

[5]続きを読む

03月23日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る