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On the Production
by 井口健二
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■なんちゃって家族、ウォルト・ディズニーの約束、大捜査の女/ジ・エレクション、ゲームセンターCX、ホビット2、ゲノムハザード
P.L.トラヴァースは自作の映画化の許諾に迷い、その視察で
ハリウッドに赴く。そこには運転手付きリムジンとビバリー
ヒルズホテルのスウィートルームが用意されていた。
こうして作家は自作『メアリー・ポピンズ』の映画化に携わ
ることになるが…。それは彼女自身が物語に込めた思いと、
ウォルト・ディズニーの映画化に掛ける思いのぶつかり合い
になってしまう。
そんな自作の映画化に拒否反応を示す作家を、ディズニーは
如何にして説得したか。映画はその点を中心に描いて行く。
しかしそこには作家の過去に纏わる厳しい現実の物語が隠さ
れていた。
出演は、2009年8月紹介『パイレーツ・ロック』などのエマ
・トムプスンと、2012年12月紹介『クラウド・アトラス』な
どのトム・ハンクス。他に、ポール・ジアマッティ、コリン
・ファレル、ジェイスン・シュワルツマン、キャシー・ベイ
カーらが脇を固めている。
監督は、2010年1月紹介『しあわせの隠れ場所』などのジョ
ン・リー・ハンコック。
脚本は、本作の製作も務めるイアン・コリーが2002年に発表
したドキュメンタリー“The Shadow of Mary Poppins”を基
に、オーストラリア人のテレビ脚本家スー・スミスと、SF
テレビドラマ『Terra Nova』などのケリー・マーセルが担当
している。
ディズニー映画の『メリー・ポピンズ』は、子供の頃に観て
当時の配給会社に手紙を書いたらプレスブックが送られてき
た。そのプレスは今でも大事に取ってある。そんな個人的な
思い出もある作品だが、その製作にこのような秘話があった
とは思ってもみなかった。
そんな秘話を引き出すウォルト・ディズニーは、ハンクスの
演じる姿が子供の頃に観ていたテレビ『ディズニーランド』
そのままで、特に顔が似ている訳でもないのに、その見事な
演技には驚かされた。
しかもそのディズニーはかなり気まぐれで、ちょっと嫌味な
部分も描かれている。さらにその中では一瞬タバコを吸って
いるシーンが登場してこれは何かとも思わされた。だが実は
ディズニーは、この2年後の1966年に肺癌で死去しており、
タバコのシーンにはその意味も込められていたようだ。
そんな事実もしっかりと描かれた作品になっていた。
公開は3月21日から、全国一斉のロードショウとなる。
本作を観終った時に『メリー・ポピンズ』をたまらなく観た
くなった。でもいま観たら多分映画の後半は涙で画面が見え
なくなってしまうだろう。それは間違いないと思われる作品
だった。

『大捜査の女』“大搜查之女”
『ジ・エレクション仁義なき黒社会』“飛砂風中轉”
2011年12月紹介『三国志英傑伝・関羽』や2002年『インファ
ナル・アフェア』などの脚本・監督を手掛けたアラン・マッ
ク、フェリックス・チョンによる2008年と2010年の作品。
1本目は、香港在住で非合法の石油密輸で財を成していた男
の一人息子が何者かに誘拐されるお話。
それに対して男は配下の組織を使い自力で解決しようとする
が、この機に組織の解明を狙う香港警察も乗り出してくる。
その陣頭指揮を執るのは、香港警察一の敏腕と言われる女性
主任警部。しかし彼女は妊娠3ヶ月の身重だった。
ハリウッドリメイクもされた『インファナル・アフェア』は
香港ノアールの集大成とも言われる作品だが、本作は同じく
香港の裏社会を描いてはいるものの、味付けにはユーモアも
あって、どちらかと言うと少し軽めのエンターテインメント
に仕上げられている。しかもそのユーモアのバランスが巧み
で心地よく楽しめる作品になっていた。
出演は、2005年9月紹介『イエスタデイ、ワンスモア』など
のサミー・チェン。実は前作の後で長期の病気療養中だった
女優の主演復帰作とのことだ。共演は2011年4月紹介『ドリ
ーム・ホーム』などのイーソン・チャン。
他に、2012年12月紹介『奪命金』などのリッチー・レン、同
11月紹介『ブラッド・ウェポン』などのリウ・カイチー、さ
らに2010年3月紹介『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』など
のミシェル・イエらが脇を固めている。

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12月22日(日)
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