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On the Production
by 井口健二
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■スケッチ・オブ・ミヤーク、推理作家ポー、くろねこルーシー、火祭り、カハーニー、シャドー・チェイサー、みんなで一緒に、菖蒲、大奥2
脚本は、2006年3月紹介『バイバイ、ママ』などのハンナ・
シェイクスピアと、元俳優のベン・リヴィングストン。監督
は2006年2月紹介『Vフォー・ヴェンデッタ』などのジェー
ムズ・マクティーグが担当した。
ポーの死の謎については、すでにいくつもの論考もあるよう
だが、本作の物語はその中でも最も大胆な作品と言えるだろ
う。何しろポーが自らの作品に基づく模倣犯と戦うのだ。そ
してポーの名作の数々がそこで再現されるのも、映画ならで
は醍醐味だ。
ただし、劇中ではポーが詩人らしくセリフで韻を踏んでいる
など洒落たシーンもあるが、それがほとんど字幕に反映され
ていないのは残念だった。他にも台詞には、ニヤリとするも
のが散りばめられていたようだ。
『くろねこルーシー』
昨年5月紹介『犬飼さんちの犬』に続くおっさんとペットの
交流を描いたシリーズの新作。このシリーズは基本的にtvk
などのUHF局ネットで放送されているテレビドラマからの
派生作品となっているが、今回はちょっと捻ってある。
物語の主人公は、子供の頃の教えで黒猫に恐怖心を持つ中年
男性。彼は人生の節目で嫌なことがある前に黒猫と出会って
いた。そんな彼は占い師を生業としていたが、風采の上がら
ない彼の前にはほとんど客も来ない。
そんな彼の家の前で2匹の黒猫が産み落とされる。それは彼
には迷惑至極だが、心優しい彼には見捨ててはおけないもの
だ。そして否応なく2匹と暮らすようになった主人公に転機
が訪れる。
物語の流れはシリーズどの作品もほぼ同じようなものだが、
そこに幼気な仔猫の姿が挿入されることでペット好きには堪
らない作品になっている。
因に以前のプレス資料で、制作者たちは「ペットを可愛く撮
ることはしない」とのコンセプトを掲げていたが、こればか
りはどうしようもない。本作もそんな感じだ。
主演は、2008年8月紹介『ハンサム★スーツ』などの塚地武
雅。意外と単独主演は始めてだそうだ。他に、安めぐみ、大
政絢、濱田マリ、生瀬勝久、佐戸井けん太、住田隆、つみき
みほ、それに山本耕史、京野ことみらが脇を固めている。
それに黒猫は、ジャックと、スモーク&モア、クマ&オハギ
の5匹によって演じられているが、この内のジャックは、大
河ドラマ「平清盛」にも出演のタレント猫だそうだ。
監督は『犬飼さんちの犬』などの亀井亨、企画と脚本も『犬
飼さんちの犬』などの永森裕二が担当している。
黒猫が前を横切ると悪いことが起きる、という迷信に関して
は、僕はテックス・アヴェリーの無茶苦茶なアニメーション
“Bad Luck Blackie”を思い出す世代だが、監督たちはどう
なのだろう。それで、魔女の遣い何ていう説明がつけられて
いるのだろうが、それだと『魔女の宅急便』のキキも思い出
してしまう訳で、なかなか難しいものだ。
でもまあ、そんな昔話もできるのはそれなりに楽しいもの。
今回はテレビシリーズとの関係も少し捻ってあったようで、
こんな感じでこれからも続けていって欲しいシリーズとは言
えそうだ。
『火祭り』“چهارشنبه سوری”
9月14日〜23日に福岡で開催される「アジアフォーカス・福
岡国際映画祭」で上映される作品の1本。
今年6月紹介『これは映画ではない』でも描かれていたイス
ラム暦の大晦日(西暦では3月20日前後のようだ)に行われ
るイランの火祭りを背景にした物語。
主人公は結婚を控えた若い女性。彼女は結婚資金を得るため
に日雇いのハウスキーパーに応募し、とあるアパートにやっ
てくる。ところが行くべき部屋のインターホンが故障で、や
むなくお隣から電話を入れてもらう。
そして訪問したのは部屋の片付けが全く出来ていない夫妻の
部屋。その部屋で仕事を続けて行く内、彼女は徐々に夫婦の
問題に関って行くことになる。それは主人の浮気に原因があ
るようだった。
その日は大晦日、町では火祭の爆竹が鳴り響き、道路には焚
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09月02日(日)
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