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On the Production
by 井口健二
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■桃さんのしあわせ、高地戦、秋瑾〜競雄女侠〜、のぼうの城、ザ・レイド、ウォリスとエドワード+Avengers, Justice League, Jumanji
れるパク・サンヨン。南北兵士の特別な状況を描いた作品と
して2000年作品と本作とは共通する点も多いが、それは人間
ドラマとしても興味の惹かれるものだ。
ただ本作の場合、発効した停戦協定には、すでに停戦ライン
は地図と共に明記されているものだし、最後の12時間の戦い
というのが現実にあったのかどうか。その辺には多少の疑問
も感じた。特に映画の舞台とされる白馬高地は、現在の停戦
ラインの北側になっているものだ。
しかし物語が描くのはそのような問題ではなく、戦争の理不
尽さやその中で生き抜く人間の姿であって、その人間ドラマ
が韓国での大ヒットを生み出したものと言える作品だ。

『秋瑾〜競雄女侠〜』“競雄女侠・秋瑾”
2011年10月紹介『1911』と並ぶ「辛亥革命100周年記念
映画」の1本。
1907年7月15日、斬首刑に処せられた「中国革命のジャンヌ
・ダルク」とも呼ばれる女性闘士の生涯を描く。
物語はその秋瑾の裁判の模様から始まり、回想の中で幼少期
に纏足を拒んだり、金持ちの息子に嫁いだものの夫の不甲斐
なさに家族を捨てて日本に留学するなど、自主独立の生涯を
選んで行った経緯が描かれる。
そして帰国後は、日本で知り合った紹興府の徐錫麟の許で、
人民開放を目指す大通学堂を開校するが、1907年7月6日の
徐錫麟による武装蜂起の際、決起日の錯誤から動きを察知し
た清軍に不意を衝かれ、逮捕、処刑されてしまう。
映画では、この徐錫麟の武装蜂起の模様や、秋瑾逮捕の様子
などが、激烈なカンフーアクションと詩人でもあった秋瑾の
詩作と共に描かれている。
監督は、今年2月紹介『イップ・マン誕生』も手掛けたハー
マン・ヤウ。主演は、その『イップ・マン』に出演のクリス
タル・ホワンとデニス・トー、ローズ・チェン。さらにショ
ン・シンシン、ラム・シュー、アンソニー・ウォンらが脇を
固めている。
因にこの作品は、日本では劇場公開はなくDVDなどで紹介
されるもので、この記事もDVDを鑑賞して書いているもの
だが、このため作品紹介用のプレス資料がほとんど提供され
なかった。
そこで秋瑾についてネットで検索したところ、歴史的な偉業
の紹介は別として、最近、杭州・西湖畔に建つ秋瑾像のそば
では、「誰これ?」と話す若者の声が多く聞かれるとの報道
ニュースも伝えられていた。
それは、日本の各地に建つ偉人像のそばなどでもよく聞かれ
るものだが、革命で国家が成立した中国でも同様というのは
多少意外な感じもする。しかし「80後」と呼ばれる中国の
若者の実態はこうなのだそうで、若者の無教養化というのは
何処も同じのようだ。
そのためにこの映画も作られているのだろう。
また作品は、結果的に7月末紹介『声をかくす人』にも似た
内容になっているが、そこには軍隊の狂気も描き出されてい
るものだ。

『のぼうの城』
オリジナル脚本が2003年の城戸賞を受賞、2007年に自ら小説
化した書籍がベストセラーとなり、直木賞候補、本屋大賞の
第2位を獲得した和田竜原作の映画化。
元々城戸賞は映画脚本の賞であるから受賞の直後から映画化
の企画はあったが、そのスケール故に製作の見送られていた
作品を、2005年6月紹介『メゾン・ド・ヒミコ』などの犬童
一心と2006年『日本沈没』などの樋口真嗣のW監督で実現し
た。
物語の背景は天正18年(西暦1590年)。豊臣秀吉は全国統一
の最後の戦いとして小田原城に拠点を置く関東の覇者北条氏
を攻める。その総兵力21万。
一方、北条氏は関東一円に支城網を張りそれを迎え撃つが、
その本隊5万の兵は小田原城に集められていた。そのため各
支城は、手薄な陣容で豊臣軍を迎え撃つしかなかった。
そんな中、現在の埼玉県行田市に築城された忍城では、当主
成田氏長と兵500を小田原城に取られ、城を守るのは約500。
対するは、石田三成率いる2万5千の軍勢だったが…
2007年3月紹介『300』のスパルタ軍は、300人で10万の
ペルシャ軍を迎え撃ったが、銃器や大砲も繰り出される近代

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08月19日(日)
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