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On the Production
by 井口健二
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■アクシデント、孔子の教え、くまのプーさん、ラビット・ホール、カンパニー・メン、サンクタム(再)、タナトス+追悼
介『唐山大地震』などのルー・イー、テレビ出身のヤオ・ル
ー、レン・チュアン。
製作は、『レッド・クリフ』を手掛けた韓三平、脚本も『レ
ッド・クリフ』のメイン脚本家の1人の陳汗。監督は、中国
第5世代の1人とされる胡政が担当した。
孔子と言われると、学生時代に漢文の授業で読まされた「論
語」くらいしか頭に浮かんでこないが、その興した儒教は中
国や、特に最近では韓国の国の体系をなすとも言われている
ようだ。その中心は仁にあるとされる。
しかし中国では、毛沢東「文化大革命」時代には儒教が封建
的な反動思想として弾圧されており、そのためもあってか、
孔子の生涯が映画化されるのは中国映画界では初めてのこと
だそうだ。
それにしても、この映画に描かれる孔子はかなりの策士で、
それが史実にどれだけ忠実かは不明だが、『三国志』の諸葛
孔明も顔負けという感じ。また映画にはCGIによる戦闘シ
ーンや居城の景観などもあって、いまだからこそ出来る作品
という感じだった。

『くまのプーさん』“Winnie the Pooh”
A・A・ミルン原作、E・H・シェパード挿絵により1926年
に発表された童話に基づくディズニースタジオ・アニメーシ
ョン作品。因に物語は、ミルンの原作の中の5つのエピソー
ドを再構成したものになっている。
その物語では、イーヨーがしっぽを無くして森のみんなでそ
の代りを見付けるコンテストを行うエピソードや、プーが見
付けたロビンの書き置きをオウルが読み間違えたことから始
まる騒動などが描かれる。
まあお話は到って他愛のないものだが、現在プー関連のキャ
ラクター商品は、ミッキー・マウスを上回ってディズニーで
は稼ぎ頭になっているそうで、映画もそのキャラクターを全
く裏切らないものにされている。
その本作は、『くまのプーさん』の35年ぶりの新作とされて
いるものだが、これは1966年から74年発表された短編3本を
1977年に再編集して公開した同名の作品から数えてのことの
ようだ。
監督は、2007年10月紹介『ルイスと未来泥棒』などのスティ
ーヴン・アンダースンと、同作でストーリーボードのヘッド
を務めたドン・ホール。また、ストーリー・アーティストに
は1956年『わんわん物語』から在籍しているバーニー・マテ
ィスンが参加している。
ヴォイスキャストは、日本公開は基本的に吹き替えになるよ
うだが、オリジナルも声優の専門家の担当でいわゆるスター
キャストによるものではない。ただナレーションだけは、元
モンティ・パイソンのジョン・クリーズが担当しているよう
だ。
さらにエンディングに流れる主題歌は、2007年12月紹介『テ
ラビシアにかける橋』などの女優のズーイー・デシャネルが
歌っていて、これは日本でも聞くことができるらしい。
なお本作の上映では『ネッシーのなみだ』“The Ballad of
Nessie”という短編が併映される。
ネッシーが乱開発に追われてネス湖に辿り着くというストー
リーには、伝説との関係が多少気になったが、背景に描かれ
た湖畔の古城の姿には、40年ほど前に現地を訪れた者として
は、懐かしさもあり嬉しかった。

『ラビット・ホール』“Rabbit Hole”
オスカー女優のニコール・キッドマンが初の製作も手掛け、
2003年3月紹介『めぐりあう時間たち』で受賞以来のアカデ
ミー賞候補にもなった作品。
ニューヨーク郊外の高級住宅街。庭の手入れする女性に隣家
から食事会への招待が告げられるが、女性は予定があると断
ってしまう。しかし、やがて帰ってきた夫に食事の準備をす
る彼女に予定があった様子はない。彼女には他に何か事情が
あるようだ。
その事情が徐々に明らかにされて行き、さらにそこからの立
ち直りのドラマが繰り広げられて行く。そこには心無い人の
発言や、親身になっているつもりでも相手には傷口に塩を擦
り込むような…そんな人間模様が描かれて行く。
それに傷つき、反発する主人公の姿。それは、自分でも判っ
てはいるがどうにもならない感情の爆発。そしてそれは最愛

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08月07日(日)
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