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On the Production
by 井口健二
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■あなたの初恋…、パーフェクト・ホスト、モールス、アントニオ・ダス・モルテス、黒い神と白い悪魔、テンペスト、人生ここにあり+闘病記
ていられる展開の作品でもある。ただし映像はかなりえげつ
ないが。
出演は、男の役にテレビ『24』にセミレギュラーで出演し
ているクレイン・クロフォードと、主人役には多数のエミー
賞やトニー賞主演男優賞も受賞しているデヴィッド・ハイド
・ピアース。他にナサニエル・パーカー、ミーガン・ペリー
らが脇を固めている。
脚本と監督は、本作のオリジナルでもある2001年の短編作品
“The Host”でシアトル国際映画祭やオーストラリア映画協
会賞などでも受賞しているニック・トムニー。オーストラリ
ア出身とのことで、『ソウ』のリー・ワネルらとも共通点が
多そうだ。
ただし映画としては、元々男が何故その家に向かったのかと
いう点が不明確だし、主人のやっていることにも意味不明の
部分が多い。それは映像的には面白いし、それだけで楽めば
良いということにもなるが、物語に矛盾があるとそれも問題
だ。
結末はそれとして理解してもよいが、それにしても、何故男
が主人の家を選んだかという点が偶然というだけでは、その
後の展開との繋がりが弱すぎる。正に都合主義という感じで
は困ったものだ。
やはり、主人の過去とかその辺の設定をもう少しちゃんと明
示すべきという感じがした。『ソウ』のときはそんなことを
感じさせない映像のインパクトがあったが、本作はそこまで
ではないし、いっそ映画の後半は無い方がすっきりしたとも
思えたものだ。

『モールス』“Let Me In/Låt den rätte komma in”
日本では昨年に公開されたスウェーデン映画『ぼくのエリ:
200歳の少女』をハリウッドでリメイクした作品。そのリメ
イクは昨年10月紹介『キック★アス』のクロエ・グレース・
モレッツの主演で、2008年『クローバーフィールド』のマッ
ト・リーヴスが監督した。
オリジナルは試写では観せて貰えなかったが、昨年の秋に一
般上映で鑑賞した。その作品は、昨今の派手なハリウッド製
のヴァンパイアものとは違う静かさで、しかもヴァンパイア
の本来の姿をしっかりと捉えている作品だったという印象が
ある。
その作品のリメイクの情報は、2008年5月15日付でも紹介し
ていたものだが、特にこのような作品をハリウッドでリメイ
クすることには、一抹の危惧も感じていた。
しかし本作のリメイクでは、イギリスのホラー映画の老舗ハ
マーの名を引き継いだ会社が権利を獲得し、その点では信用
できるかなとも思えたが、続いてリーヴス監督の起用ではま
た危惧がぶり返してもいたものだ。
という作品だが、僕はリーヴス監督には謝らなくてはいけな
いようだ。そのくらいにこのリメイクではオリジナルへの敬
意を最大限に発揮して、見事にオリジナルの味わいを残した
ままの作品に仕上げてくれていた。なお監督は脚本も自分で
手掛けている。
物語は、学校では苛められっ子の12歳の少年の住むアパート
の隣室に同い年くらいの少女が父親らしい男と引っ越してく
るところから始まる。しかしその部屋は窓も塞がれ、少女が
外出する姿も観られない。しかも壁隣の少年の部屋には時々
怒鳴る声も聞こえてきた。
そして夜間の雪の降り積もる中庭にいた少年は、雪の中を裸
足で出てきた少女に声を掛ける。それは隣部屋に住む少女だ
ったが、少女の態度にはどこかよそよそしさがあった。それ
でも気になった少年は少女に話し掛け続けるが…。やがて惨
劇が始まる。
共演は、2009年『ザ・ロード』のコディ・スミット=マクフ
ィー、2009年1月紹介『バーン・アフター・リーディング』
などのリチャード・ジェンキンス、今年2月紹介『キラー・
インサイド・ミー』などのイライアス・コティーズ。
実は、物語自体はオリジナルのほとんど同じで、そこに多少
のハリウッド的なVFXが入っている程度。まず上映時間も
116分とほぼ同じだし、全く台詞を英語にして俳優を替えた
だけではないかと思わせるくらいのものだ。
正直には、監督がここまで自分を殺してリメイクした心情を
聞いてみたくなるくらいだったが、それほどこのオリジナル

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05月01日(日)
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