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On the Production
by 井口健二
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■昼間から呑む、ジャスティン・ビーバー、ラスト・ターゲット、卵、カルメン、赤ずきん、テザ+製作ニュース
ーテン、それに2007年12月紹介『フランチェスコ』などに出
演のパオロ・ボナチェッリ。
他に、2010年10月第1回に紹介した『ジェヴォーダンの獣』
に出演のヨハン・レイセン。また前々回紹介したフィリッポ
・ティーミは主人公に銃の材料を渡す修理工、サムリ・ヴァ
ウラモはスウェーデン人の若者の役で出ていたようだ。
監督は、2007年の長編デビュー作『コントロール』が、カン
ヌ国際映画祭での受賞の他、イギリスアカデミー賞でのノミ
ネートなどもされているアントン・コービン。本作はその第
2作となる。
ただし、1955年オランダ生まれのコービンは、それ以前にも
カメラマンとして多大な実績があるようで、その実績通りの
見事な映像が、北欧の雪原やイタリアン山岳地帯の風景を写
し出している。それだけでも堪能できる作品だ。また銃製造
の過程を丁寧に捉えたシーンやアクションシーンなども、さ
すがカメラマンの目という感じで描かれていた。
脚本は、昨年10月24日付「東京国際映画祭<コンペティショ
ン部門>」で紹介した『ブライトン・ロック』などのローワ
ン・ジョフィ。
主人公が出自を訪ねられ、「アメリカ人」と答えたときに冠
詞の誤りを直される。そんなところにも孤独を感じさせた。
普段は饒舌とも言えるクルーニーが、最初から最後まで登場
する唯一のアメリカ人で、寡黙な一匹狼というのも面白い設
定の作品だった。
『卵』“Yumurta”
3月27日付紹介『蜂蜜』と同じくセミフ・カプランオール監
督によるユスフ3部作の1本で、2007年の最初に発表された
作品。
本作のユスフは大人になり、イスタンブールで古書店を開い
ている。そして夜間に電話が架かり、そこからはタイトルバ
ックの音響だけで彼が慌てて出掛けて行く様子が表現されて
行く。
その彼が向かったのは青年の頃を母親と過ごした町。賑やか
な市場もあるその町で、彼の母親の葬儀が行われる。そして
母親の家に戻ると、そこには若い女性の姿があった。彼女は
親戚の娘で老境の母親の世話をしてくれていたようだ。
さらに相続の手続きや母親がやり残した事を成就させる間、
町に留まった主人公と彼女との共同生活が続く。そこにいろ
いろな出来事が交錯して行く。その出来事は互いにつながり
があるようでもあり、ただの行き掛かりの出来事もある。
『蜂蜜』のような大自然の中ではないが、これもトルコ北部
なのか、高低差のある町並や郊外の牧場、山や湖などを背景
として物語が描かれる。その中で主人公は自らの過去を見つ
め直して行くことになる。
物語では母親の死を切っ掛けにした主人公の行動が描かれる
が、文化の違いによる部分はあるにしても、さほど我々とも
違わない行動が描かれている。それはそれで理解できるもの
だし、そんな中でのちょっとドラマティックな要素もある作
品だ。
なお映画の中では、主人公は以前に詩集を発表して評価され
たことになっており、その詩集のタイトルが“Bal”。本作
は『蜂蜜』より先に製作されたものだが、すでにその題名が
紹介されていたようだ。また映画にはミルク売りの少年が登
場したりもしていた。
出演は、ネジャット・イシュレル、サーデッド・イシル・ア
クソイ、ウフク・バイラクタル、そして『蜂蜜』にも出演の
トゥリン・ウゼン。他に映画の後半に登場する白い大型犬が
なかなかの名演技で気に入った。エンドロールによるとEfe
という名前だそうだ。
なお、2008年作の『ミルク』も後日紹介できる予定だ。
『カルメン3Dオペラ』“Carmen in 3D”
プロスペル・メリメの原作、ジョルジュ・ビゼー作曲による
1875年に初演されたオペラを、イギリスのロイヤル・オペラ
・ハウスが上演。その舞台を3Dで撮影した作品。
作品は巻頭で楽屋の様子や劇場の外、入場してくる観客など
が写され、さらに開幕前の役者のセッティングの様子なども
写されて開幕となる。ただし、撮影しているカメラはその舞
台上に複数配されており、果たしてこれが公演中の撮影なの
かには疑問を感じた。
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04月10日(日)
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