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On the Production
by 井口健二
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■蜂蜜、処刑剣、愛の勝利を、プッチーニの愛人、マイ・バック・ページ、4月の涙、黄色い星の子供たち+ニュース
龍は、そこである陰謀の存在を知ることになる。
これに、運送業者の娘との仄かな愛や復権を狙う親王一族が
放った刺客との壮絶な闘い、さらには「砂漠の判事」と自称
する盗賊団のリーダーなどが絡み、「大明十四刀」という司
令のみが持つことを許されるギミック一杯の武器なども登場
して、クンフーアクションにワイアーワーク、CGIも駆使
した大活劇が展開される。
共演は、2002年6月紹介『少林サッカー』などのヴィッキー
・チャオ。ブルネイ出身の元バスケットボール・ナショナル
チームのキャプテンで男性アイドルユニット「飛輪海」のメ
ムバーとして日本デビューもしているウーズン。それに大ベ
テランのサモ・ハン。
原案・脚本・監督・美術は、1996年にジェット・リーが主演
した『ブラック・マスク』などを手掛けたダニエル・リーが
担当した。
『孫文の義士団』の時は正直に言って歴史の齟齬などが多少
は気になった。しかし本作の場合は、物語自体はオリジナル
のようだが武侠物にも通じる波乱万丈の展開で、まずは痛快
エンターテインメントという感じの作品だ。

『愛の勝利を』“Vincere”
第2次大戦で日独伊3国同盟の一翼を担ったイタリアの総帥
ムッソリーニの愛人を巡る物語。
ドイツのヒットラーは愛人エヴァと一緒に自殺したことが有
名だが、ヴァチカンの膝元でもあるイタリアの総帥が愛人を
持っていたというのも、イタリア人ならあるということか。
その愛人イーダとムッソリーニは、1907年に早くも出会って
いるものだ。
その日のムッソリーニは、宗教的な集会で「神が居るなら5
分以内に私を抹殺しろ」と言い放ち、5分後「神は居ない」
と断じてみせる。その姿を羨望の眼差しで見詰める女性。そ
して社会党に入党し官憲に追われるムッソリーニを、彼女は
身を持って匿う。
こうしてムッソリーニを愛するようになったイーダは、やが
て彼の目指すものに向かって全財産を抛ってでも支援を続け
て行くことになる。ところが彼の息子を出産し、彼が総帥の
座に向かって進み始めた頃。彼に別の家族の在ったことが判
明する。
それでもイーダは、自分がムッソリーニの妻であり、息子が
長男であることを認めさせようとするのだが、それは総帥に
とってはスキャンダルとなる。こうして彼女と息子の存在は
抹殺されて行くことになるが…。
最初は共産主義であったムッソリーニの政治姿勢が全体主義
へと変貌して行く。そんな個人的な変遷と、そこには数多く
のアーカイブ映像やチャールズ・チャップリン『キッド』の
映像なども織り込みながら、物語は1945年までのイタリアの
歴史を描いて行く。
このイーダという女性の存在がイタリアでどれほど知られた
ものかは判らないが、物語の後半は彼女自身の存在を賭けた
闘いも描いて行く。それは全体主義国家の権力との絶望的な
闘いでもあるものだ。
出演は、2008年5月紹介『コレラの時代の愛』などのジョヴ
ァンナ・メッゾジョルノと、日本で今月末から試写が開始さ
れるジョージ・クルーニー主演『ラスト・ターゲット』に出
演しているフィリッポ・ティーミ。特にメッゾジョルノは、
本作で全米批評家協会から主演女優賞を贈られたそうだ。
共産主義から全体主義、反戦論者から積極的参戦論者まで、
あっと言う間に変貌してしまうムッソリーニの政治姿勢の変
遷も驚きだったが、それを陰で支え続けるイーダの姿にも何
とも言えないものを感じさせられた。

『プッチーニの愛人』“Puccini e la fanciulla”
数多くの女性遍歴でも知られるイタリアの作曲家ジャコモ・
プッチーニ。その生涯の中で唯一の汚点とも言われるドーリ
ア・マンフレーディの自殺事件を検証した作品。
トスカーナの景勝地トッレ・デル・ラーゴに建つプッチーニ
邸。その日、旅先の夫妻から帰宅の報を受けたメイドのドー
リアは、その準備を続ける中である出来事を目撃する。しか
しそれを口外するような彼女ではなかったのだが。
やがて帰宅したプッチーニ夫妻から素敵なお土産なども貰う

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03月27日(日)
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