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On the Production
by 井口健二
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■ラスト・ソルジャー、シチリア!シチリア!、リミット、神の子どもたちはみな踊る、カウントダウンZERφ、Looney Tunes+製作ニュース
出演は、パレルモ出身の俳優で本作が映画初主演作となるフ
ランチェス・シャンナ、同じくシチリア島カターニャ生れの
国際モデルで本作が映画デビューのマルガレット・マデ。
他に、昨年11月紹介『抱擁のかけら』などのアンヘラ・モリ
ーナ、2005年5月に『輝ける青春』の題名で紹介した『青春
の輝き』などのルイジ・ロ・カーショ、ベテラン女優のリナ
・サストリらが共演。
さらに2007年6月紹介『題名のない子守歌』などのミケーレ
・プラチド、2004年5月紹介『トスカーナの休日』などのラ
ウル・ボヴァ、それにモニカ・ベルッチらの多彩なゲスト出
演も楽しめる。
また、根っからの映画好きのトルナトーレ監督作品というこ
とで、今回も映画関係のトリビアは沢山登場するが、劇中の
主人公が収集している映画フィルムの断片の中に、『アルゴ
探検隊の大冒険』が含まれていたのはうれしかった。

『リミット』“Buried”
ふと目が覚めたら砂漠に埋められた箱の中…、という極限状
態に置かれた男の運命を描いた作品。
登場人物は、イラクで生活物資の輸送に従事していた民間人
のトラックドライヴァー。ある日、業務中を何者かに襲われ
て失神し、目覚めると、彼がいるのはときどき隙間から乾い
た砂が流れ込む小さな箱の中だった。
そんな彼の手元にあるのはジッポとiPhone…、他にもいろい
ろあるようだが、身動きもままならない小さな箱の中ではそ
れを入手するのも大変だ。そしてジッポの明かりの中で主人
公は、猿ぐつわや縛られていた縄を解き、iPhoneで外部との
連絡を試みるが…
主人公はアメリカ人、背景がイラクということでは、当然、
国防総省やFBIなどにも連絡はするのだが、なかなか思う
ような行動は起こしてもらえない。その内、犯人が箱の中に
iPhoneを残した理由も判り始める。
埋葬した棺桶を掘り返すと、その内側が掻き毟られていたと
いう話は、ホラーの題材として昔からある話だが、相手が中
東のテロリストとなると話もいろいろ捻りが利いてくる。そ
んな題材を上手く描いた作品と言えそうだ。
本作で事実上の唯一の出演者となるのは、昨年8月に紹介し
た『あなたは私の婿になる』でサンドラ・ブロックの相手役
を務めていたライアン・レイノルズ。狭い箱の中だけという
究極のシチュエーションの中で、見事な演技を繰り広げてい
る。
脚本は、2005年に“An Uzi at the Alamo”という作品を脚
本、監督、主演で発表しているクリス・スパーリング。本作
が事実上初の商業作品と思われるが、いろいろ細かい点まで
考慮された良くできた作品だ。
そして監督はスペイン出身、2007年に“Contestante”(The
Contestant)という作品が評判になり、本作でハリウッドに
招請されたロドリゴ・コルテス。緊張感の維持された演出は
見事で、次回作にはシガニー・ウィーヴァー主演作が予定さ
れているとのことだ。
閉所恐怖症の人には絶対にお勧めしないが、2004年『ソウ』
で始まったソリッド・シチュエーション・スリラーの究極の
形としても見事と言える作品だ。

『神の子どもたちはみな踊る』
           “All God's Children Can Dance”
『1Q84』の村上春樹が、阪神淡路大地震とオウムサリン
事件の間の1995年2月を背景として描き、2002年に発表した
連作短編集の中の1篇。その作品がアメリカ映画として映画
化された。
主人公は「神の子」と呼ばれる青年。狂信的な母親の許で、
幼い頃からそう信じ込まされて成長してきた。そして青年に
なった彼には恋人もできるが、彼女がいくらせがんでも彼は
結婚に踏み切ることは出来ない。何故なら自分は「神の子」
であるから。
そんな青年の日常と、現実の父親であるかも知れない特徴を
持つ男と遭遇したことに始まる青年の行動などが描かれる。
そしてその間には、青年が成長するまでのいろいろな出来事
がフラッシュバックで提示されて行く。
そこには狂信的な母親との歪んだ関係も描かれる。と言って
も、まあ何と言うかその内容はかなり雲を掴むような話で、

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09月26日(日)
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