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On the Production
by 井口健二
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■パートナーズ、Ricky、大奥、君へのメロディー、アイルトン・セナ、アメリア、ガフールの伝説、人生万歳
ンヌとのことだ。それに共演は『パンズ・ラビリンス』など
のセルジ・ロペス。
また、タイトルロールを演じるのは生後数ヶ月というアルチ
ュール・ペイレ、さらにその幼い姉役を演じるメリュジーヌ
・マヤンスは撮影当時は8歳だったそうだが、この尋常では
ないシチュエーションを見事な演技で支えている。
元々はイギリス人の作家ローズ・トレメインの短編小説を原
作としているそうだが、オゾンはそこから、2005年7月紹介
『ふたりの5つの分かれ道』でも協力を得たエマニュエル・
ベルンヘイムと共に、その根底にある物語から掘り返した脚
本に仕上げている。
なお本作の製作には、『アメリ』などを手掛けたクローディ
・オサールが新たなタッグを組んでおり、オゾンとの顔合せ
がこの方向で進むなら、今後も期待が持てそうだ。
『大奥』
2004年に連載が開始され、2009年手塚治虫文化賞マンガ大賞
の受賞に続いて、2010年には海外の文学賞ジェームズ・ティ
プトリーJr.賞を日本人で初めて、またコミックスとしても
初めて受賞したよしながふみ原作からの映画化。
疫病によって男性の人口が著しく減少したという設定の江戸
時代を背景に、徳川幕府も女性中心、さらには将軍も女性と
いう状況で、本来なら女性が集められる後宮であった大奥に
容姿端麗な男子が集められて…という物語が展開される。
正直に言って、原作を読まずにこのストーリーを聞いたとき
は、世継ぎを生ませるための大奥にいくら男性を集めても、
肝心の世継ぎを生めるのは女性の将軍だけだから、話が成立
しないのでは…?と考えていた。
しかし映画を観ていると、なるほどこの展開ならそれも有り
得ると思えてきた。それは原作がちゃんとその辺まで考えて
作られているということのようで、原作者の構想では、徳川
300年、15代の将軍が最初を除いてほぼ全員女性という歴史
が描かれるとのことだ。
そして今回映画化されたのは、第8代将軍徳川吉宗の時代。
暴れん坊将軍としても知られる吉宗が女性であっても、直系
ではない紀州徳川家からの将軍就任という経緯は同じで、同
様の改革を断行する姿が描かれて行く。
ただし、本作の舞台は大奥、描かれるのはそこでの男同士の
友情や嫉妬、妬み、さらには謀略など…。その一方で剣道に
よる対決シーンや市井の話なども織り込んで、巧みな物語が
展開されて行くものだ。
それにしても、巻頭のシーンで女性だけが活動している市中
の風景などは、思いも掛けない迫力で描かれており、その後
に続く男性だけの大奥風景と見事な対比を見せていたり、映
画作品としても見応えのある作品になっていた。
出演は『硫黄島からの手紙』などの二宮和成、『日本沈没』
などの柴咲コウ。共演に堀北真希、大倉忠義、中村蒼。他に
玉木宏、倍賞美津子、竹脇無我、和久井映見、阿部サダヲ、
佐々木蔵之介らが脇を固めている。
脚本は、よしなが原作『西洋骨董洋菓子店』のアニメ版も手
掛けている高橋ナツコ、監督は2003年『木更津キャッツアイ
日本シリーズ』などの金子文紀が担当した。
二宮、大倉というジャニーズ系の共演で、単なるアイドル映
画に観られる心配もあるが、本作はIFの世界を描いたSF
としてもしっかり作られており、SFファンが楽しめる作品
になっていた。
『君へのメロディー』
日本出版販売製作/配給、『テニスの王子様』俳優の主演、
サイエンスホールでの有料試写も予定されている作品という
ことで、これはいつものBL物かなと思って観に行った試写
会だったが、今回はちょっと毛色が変っていた。
物語は、主人公が訪れた病院で記憶喪失の少女と出逢うこと
から始まる。その入院以来病院から出たことがないという少
女を主人公は外出に誘うが、その途中で聞こえてきた音楽に
少女は異常な反応を示す。そして次に病院を訪れたとき、少
女は姿を消していた。
やがて主人公はとあるペンションで働いている少女を捜し出
し、そのペンションを訪ねて自分もそこで働くようになる。
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09月12日(日)
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