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On the Production
by 井口健二
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■ユキとニナ、フォース・カインド、サロゲート、パレード、Dr.パルナサスの鏡、抱擁のかけら、作戦、バニッシング・ポイント
のだろう。それを知って観に行くかどうかが、本作の評価の
境目のようにも思えてきた。
なお試写会では、マスコミ向けの試写会ではあったが、この
作品の内容を信じるか否かというアンケートがされた。僕は
躊躇なく「信じる」に投票したが、周りはそうでない人が多
いようだった。でもこれくらいは「信じる」に投票する洒落
っ気が欲しいよね。
それから、映画の中の「kidnapingではない、abduction(拉
致)」という台詞には、日本では北国の影がつきまとうが、
信じるか信じないかということでは、何か似たところもある
かなあ…という感じもしたものだ。
『サロゲート』“Surrogates”
『T3』『T4』のジョン・ブランカトー&マイクル・フェ
リスの脚本、『T3』のジョナサン・モストウ監督で、人間
の社会活動をロボットが代行するようになった未来社会を描
いた作品。
引き籠もり人間がロボットのオペレーターとなって、五感を
含む全ての受動能動の行動をロボットに代行させる。そうす
れば人は、嗜好に合せて作られたロボットを操縦して自分の
容姿や人種、性別、身の危険なども考慮することなく、勝手
気儘な生活を営める。
このようなロボットは、2005年4月に紹介した『HINOKIO』
でも描かれていたが、本作ではさらにそれを押し進めて、社
会活動をしている人類のほとんどがオペレーターとなり、屋
外に居るのは代行ロボットだけという究極の世界が描かれて
いる。
そして物語は、そんな世界で起きた殺人事件の捜査が主題と
なる。それは特殊な武器を使用して代行ロボット(サロゲー
ト)だけでなく、オペレーター本人にも死もたらす凶悪なも
のだった。
さらに主人公はその捜査を行う刑事で、同僚の女性刑事と共
に事件を追って行くのだが。捜査の行き過ぎから行動が規制
され、バッジと拳銃を取り上げられ、サロゲートの使用も禁
じられてしまう。そこで彼は…
この主人公に扮するのはブルース・ウィリス。最初の登場シ
ーンで頭髪がフサフサの金髪姿に試写会場でざわめきが走っ
た。本当ならもっと笑い声でも良かったかも知れないが、そ
れくらいに衝撃的な映像で、これで一気にこの世界が説明さ
れてしまうものだ。
このサロゲートの映像は、スペシャルメイクと、多分CGI
も使われていると思うが、何人かの俳優は本人としても登場
するから、その変貌ぶりは見事なものだった。その上、この
サロゲートのシーンではアクションも超人的になる。
共演は、『サイレントヒル』のラダ・ミッチェルと『リバテ
ィーン』のロザムンド・パイク。他にヴィング・レイムズ、
ジェームズ・クロムウェルらが登場する。
1時間29分と短い作品で、SFというよりアクションを中心
にそつなく纏められていた。
『パレード』
芥川賞受賞作家でもある吉田修一による山本周五郎賞受賞作
を、2007年6月紹介『遠くの空に消えた』などの行定勲監督
が映画化した作品。
行定監督の作品はあまり観ていなくて、いわゆるヒット作や
受賞作はほとんど観ていないが、本作では監督の原点回帰と
いうことで、2002年の青春群像劇『きょうのできごと』に繋
がる作品とのことだ。
で、実はこの『きょうの…』も映画祭で観たことを思い出し
たのだが、正直その時にはあまりピンと来なかった。しかし
今回は、監督の描こうとしている若者のモラトリアムなるも
のが、何となく判るような気がしてきた。
物語は、何故か4人の男女が1つの部屋に暮らしているとこ
ろから始まる。彼らは別段恋愛関係にある訳ではなく、契約
上は夫婦が借りている賃貸マンションに、劇中でも「中国か
らの不法就労者のよう」と表現されているように寄り集まっ
ているものだ。
しかしそれぞれはそれなりの生活態度で、互いにトラブルを
生じることもなく、取り敢えず平穏に暮らしていた。そんな
彼らの生活に、1人の若者が紛れ込んでくるまでは…。
物語の冒頭では、近所で連続通り魔事件が発生していること
が告げられ、その一方で、彼らの住む部屋の隣室が何やら怪
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11月15日(日)
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