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On the Production
by 井口健二
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■キング・コーン、チョコレート・ファイター、台湾人生、17アゲイン、ラスト・ブラッド、ロシア革命アニメーション、スティル・アライヴ
物語は進められる。因にこの日本人やくざを阿部寛が演じて
いるのも話題になりそうだ。
とは言うものの映画の主眼は、少女が大の男たちを相手に繰
り広げる強烈なカンフーアクション。特に後半のガード脇の
路地を舞台にしたアクションシーンは、もちろんワイヤーな
ども使用されてはいるものだが、それでも間違いなく痛そう
で壮絶なものだ。
そのアクションをスタントなしで演じているというジージャ
ーは、ピンゲーオとリットグライが6年の歳月を費やして、
手塩に掛けて育ててきた秘蔵っ子とのことで、魅せるアクシ
ョンを見事に展開している。
そしてそのアクションは、当然計算されたものであるはずな
のだが…。巻末に紹介されるNGシーンには、それを売り物
にするのもどうかと思うくらいの生傷映像が大量に登場して
いた。正に身体を張ったアクション映画というところだ。
『台湾人生』
戦前占領下の台湾で日本人教育を受けた台湾人の現在を追っ
たドキュメンタリー作品。
その人たちは、戦前の日本人教育で日本への愛国心を植え付
けられ、戦中はその愛国心のもと日本兵として戦争に赴く。
しかし戦場ではチャンコロと呼ばれて差別を受け、さらに戦
後は蒋介石率いる支那人の侵略によって長年の圧制に苦しめ
られる。
それでも彼らは日本が好きだと言い切り、今でも「天皇陛下
万歳」と言って死ねるという。
こんな人たちが台湾人口の何%いるかは明らかにされない。
しかし、元々の原住民の人から一般的に台湾人と呼ばれる人
たちまで、ここに登場する人たちは確かに今の台湾に暮らし
ている人たちだ。
もちろんこれは、戦前の日本人教育が正しかったということ
ではないし、またこの人たちは、1947年2月28日に始まる国
民党の迫害(戒厳令が38年間も続いた)によって、日本への
思いが純粋培養されてしまった人たちなのかもしれない。
しかし、今でも流暢に日本語を話す彼らの姿を見ていると、
日本が置き去りにしたこの人たちを僕らはどう考えれば良い
のか、心を痛めてしまうものでもあった。
そんな彼らは、日本政府に謝罪して欲しいという思いは語る
ものの、それ以上の要求などは一切口にすることがない。そ
れが日本への彼らの思いを、一層明白に物語っているように
も感じられた。
彼らが語る小泉の靖国参拝などに関しては、「問題はそこに
あるのではないよ」と教えてあげたくもなるし、蒋介石一族
への恨みなどには我々とは直接関わらない問題もあるが、彼
らが受けた苦難のいくらかは日本にも責任があることは確か
なものだ。
なお、映画の中に高座海軍工厰の話が出てきた。高座郡は相
模平野のほぼ中央に位置する場所で自分の生まれた平塚市に
も近いので興味を持ったが、調べてみると当時8400人を超え
る台湾出身の青少年がここで工員として働いていたのだそう
だ。
その他にも、二二八事件と呼ばれる国民党との抗争などは今
まで知ることもなかったし、日本人にとって台湾という存在
は一体何だったのか考えてもしまう。それは日中国交正常化
によって抹殺されてしまった歴史なのかもしれない。
それにしても、こんな風に学校が教えない歴史は、現在の日
本教育には他にもいろいろ隠されていそうだ。
『セブンティーン・アゲイン』“17 Again”
『ハイスクール・ミュージカル』のザック・エフロン主演に
よる最新作。17歳の時にした決断がもしかしたら誤りだった
かも知れない。そんな過去を引き摺ったまま生きてきた主人
公がその過ちを正せるかも知れない奇跡に見舞われる。
主人公は17歳の時、高校のバスケットボールの花形選手とし
て大学のスカウトも見に来るほどの存在だった。しかしその
スカウトが見つめる試合で、彼は自分自身のある決断により
将来を棒に振ってしまう。
そして10数年。彼は妻と2人の子供と共に地道に会社勤めを
しながら暮らしていたが、何に付けても覇気がなく、ついに
は妻からも愛想尽かしをされてしまう。そんな時、ふと訪ね
た母校で、彼は人生をやり直せるかも知れないチャンスを掴
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04月05日(日)
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