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On the Production
by 井口健二
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■昴、サスペリア・テルザ、グラン・トリノ、カンフーシェフ、刺青奇偶、ストリートファイター/チュンリー、エンプレス
りにはできないところもある。そんな中でのアルジェントの
ぎりぎりのホラー演出が見られる作品ともなっている。
サラ役はアーシア・アルジェント。近頃はハリウッドの大作
にも出演する監督の愛娘が、久しぶりに父親の作品に主演し
ている。また77年作に出演したウド・キアの登場や77年作の
脚本に協力しアーシアも誕生させた女優ダリア・ニコロディ
の共演など、それなりの集大成の感はあるようだ。
他にも『黄金の七人』のフィリップ・ルロアなど多彩な顔ぶ
れが登場している。また、映画の中でちょっと怪しい日本語
を喋る若い女性を演じているのは、市川純というイタリア在
住の日本人女優だそうだ。
『グラン・トリノ』“Gran Torino”
クリント・イーストウッドが、2004年『ミリオンダラー・ベ
イビー』以来の監督主演を兼任した作品。異民族の流入が進
む郊外の住宅地を舞台に、そこに住む妻に先立たれた一徹な
老人と、その隣家に引っ越してきた東洋人一家のぎこちない
交流が描かれる。
イーストウッドが演じる主人公は、朝鮮戦争に出征し、戦後
はフォードの組み立て工場で働いていたという男性。その男
性の妻の葬儀の模様から物語はスタートする。
葬儀の後、住宅地の自宅で開かれたパーティには多くの人が
集まってくれたが、主人公は来訪した息子がトヨタに乗って
来たことも気に食わない。そんな主人公の住む家の隣に、東
洋人の一家が引っ越してくる。
その住宅地は治安も悪化し始め、住んでいた白人の多くはす
でに別の場所に転居しているような場所だった。そして引っ
越してきた一家のちょっと内気な息子が、早速トラブルに巻
き込まれる。そのトラブルの原因が、主人公が手入れを怠ら
ない1972年フォード製グラントリノであったことから、主人
公はその一家と話を交わすことになる。
実は、主人公は東洋人に激しい偏見を持っていたが、それは
戦場での体験が影響しているようだ。そして主人公は、東洋
人の一家がアメリカに移住してきた原因が自分たちにあるこ
とも教えられて行く。しかし息子を巡るトラブルは激しさを
増して行き…
朝鮮やヴェトナムなどアメリカが外に向けて行ってきた戦争
が暗い影を落とし、本来ならもっと目を向けられなければな
らないアメリカ国内の状況が描かれる。主人公だけでなく、
アメリカの白人社会全体が疲弊している…そんな様子も伺え
る作品だ。
イーストウッド以外の出演者はほとんどが新人で、特に隣家
の姉弟役には、現地ミネアポリスで行われたオーディション
で選ばれた演技経験もほとんどない2人(アーニー・ハーと
ビー・ヴァン)が扮している。
他には、テレビやインディペンデントの映画に出演している
クリストファー・カーリー。さらにハリウッドでは脇役中心
のブライアン・ハーレイ、『ロッキー・ザ・ファイナル』に
出演のジェラルディン・ヒューズ、『ゾディアック』などの
ジョン・キャロル・リンチらが脇を固めている。
僕は、本作の結末には決して納得しないが、イーストウッド
が全身全霊を掛けて訴えようとしている内容は、真摯に受け
とめなければならないものと感じる。これがアメリカの良心
なのかも知れないと思いつつ。
『カンフーシェフ』“功夫厨神”
巨漢カンフースターのサモ・ハンが主演し、台湾版『花より
男子』のヴァネス・ウー、元モーニング娘。の加護亜依が共
演する中国料理の厨房を舞台にした香港カンフー映画。
香港の老舗中華料理店を巡って、伝説の包丁を継承する料理
人と彼に父の包丁を奪われたと思い込む甥との確執や、老舗
の名を掛けた料理勝負の顛末が、カンフーアクションを織り
込みながら描かれる。
サモ・ハン扮する料理人は、とある村の伝統の料理店で腕を
振るっていたが、謀略に合いその村を追われる。そして香港
に現れた料理人は老舗の料理店を訪れ、一皿の料理を注文す
る。それは四川で究極の料理とされているものだった。
一方、ヴァネス・ウー扮する若者は、料理学校を主席で卒業
したが、料理のテクニックはあるものの、満足のできる仕事
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02月08日(日)
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