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On the Production
by 井口健二
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■スラムドッグ、イエスマン、ロックンローラ、トワイライト、ビバリーヒルズ・チワワ、アンティーク、レイチェルの結婚、ベルサイユの子
『ディック&ジェーン 復讐は最高!』以来の再会となる。
因に、物語はダニー・ウォレスという人の書籍に基づくが、
原作は小説ではないようだ。
監督は、1991年に“Back to the Future”のテレビアニメー
ションなどを手掛けたペイトン・リードが担当している。
共演は、『テラビシアにかける橋』などのズーイ・デシャネ
ル。他にテレンス・スタンプが重要な役柄で登場し、物語の
要所を締めている。
まあ基本的には夢物語ではあり、何事もこんなにうまく行く
とは思えないところではあるが、今の世の中にはこんな考え
方も必要なのではないかな。しかもそこにはちゃんと現実的
な側面も持たせてあって、その辺りの見識が作品の質を高め
ているようにも思えた。

『ロックンローラ』“RocknRolla”
2000年『スナッチ』などのガイ・リッチー監督によるロンド
ン裏社会ものの新作。
リッチー監督のこの種の作品は定評のあるところだが、今回
は突然の不動産バブルに踊るロンドンを舞台に、ロシアなど
から流入する巨額資金を巡っての裏社会の混乱が描かれる。
と言っても、情勢は変わっても伝統あるロンドンの裏社会の
気風は不変のものだが。
その裏社会を仕切るのは、2007年『フィクサー』などで2度
オスカー候補になったトム・ウィルキンスン扮する顔役。彼
は大型開発の建設許可を巡って裏で市議会議員を操り、うま
い汁を吸い続けている。
その罠に引っ掛かったのが、ジェラルド・バトラー扮するワ
ンツーらのチンピラ一味。お陰で彼らは多額の借金を背負う
ことになり、その挽回のため危ない橋を渡り始める。一方、
もっと危ない橋を渡りたがる女会計士がいて…
これに若くして財をなしたロシア男や、顔役の右腕、さらに
ジャンキーやロックローラの失踪事件などが絡んで物語が進
んで行く。
まあ何とも危ない連中ばかりが登場するお話で、まともな奴
は1人も居ない。でもそれがリッチー作品の面白さだし、そ
のリッチーワールドが存分に展開されている作品だ。
しかも今回は、不動産バブルという日本でもお馴染みの状況
が描かれるから、これは日本人にも理解されやすそうだ。特
に行政を巻き込んだ建築許可を巡る話などは、日本でも同じ
だったんだろうな…と想像させる。
共演は、2004年『リディック』などに出演のタンディ・ニュ
ートン。昨年末公開の『ワールド・オブ・ライズ』にも出て
いたマーク・ストロングなど。
製作は。『マトリックス』などのジョール・シルヴァ。彼が
主宰するダーク・キャッスルの作品で、この会社は元々ホラ
ー映画専門として立上げられたはずだが、このような映画も
製作することになったようだ。
なお、撮影は全編がHDヴィデオで行われているが、サッカ
ーの聖地ウェンブリー・スタジアムが初めて劇映画のセット
として使用されたり、ロンドンの地元の人も知らないような
風景が出てくるということで、それらの背景も楽しめる。

『トワイライト−初恋−』“Twilight”
2005年に発表されたステファニー・メイヤー原作の映画化。
全米では昨年11月に公開されて、社会現象とまで言われるほ
どの興行成績を上げた。
物語は、ワシントン州の小さな町に引っ越してきた少女が、
転校した高校で異様な雰囲気を持つグループと出会うことか
ら始まる。彼らは全員が校医の養子となっているが、美男美
女の集まりで、他の生徒たちとは一線を画している。
一方、主人公の少女も、南から来た転校生ということで人気
者になるが、彼女自身は生物の授業で一緒になった養子グル
ープの1人に心を引かれて行く。しかしその彼は彼女とのつ
きあいを避けたがっているようにも見える。
それでも彼への想いを募らせる主人公は、やがて彼らの重大
な秘密に近づいて行くことになるが…
彼らがヴァンパイアであることは、今更ネタバレにはならな
いと思うが、人間は襲わないと誓っている彼らと、人間を食
料としか見ていないグループとの抗争や、それでも彼女の血
を吸いたいとの想いを止められないヒーローの葛藤などが描
かれる。

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01月31日(土)
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