ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460266hit]

■ポチの告白、制服サバイガール、三国志、はじめはコドモだった、かさぶた姫、約束の地、ロルナの祈り
た謎の植物が入り込み、その植物は人間をゾンビ化し、ゾン
ビ化された人間は他の人間を襲うようになっていく。こうし
て、ゾンビ化によって突如客を襲い始めた敵役を相手にした
サバイバルが始まる。
そして第2部では、第1部を生き抜いた女子高生の1人がゾ
ンビたちを抹殺すべくランドを再訪する。しかしそこで彼女
は妊娠が判明し、その胎児は異常な速度で成長し始める。果
たして生まれてくる赤ん坊の正体は……となっている。
企画の成立がどういう経緯かは知らないが、元々1本に纏め
るのはかなり難しい話だし、それをあえて2本立とすること
で、それぞれの物語のテーマも明確化するなど、これはなか
なか上手い方策だとも思えるところだ。
まあ映画自体は低予算で、さほどの大仕掛けが観られるもの
ではないが、上記のアイデアでは見所があるようにも感じら
れ、2本で2時間28分の上映時間はそれなりに楽しめた。
出演は、飛鳥凛、有末麻祐子、紗綾、仲村みう、白石隼也。
いずれもグラビアやモデル出身の若手たちだが、それぞれい
ろいろな演技の経験も積んできて、それなりに観られるよう
になってきている。
なお、キネカ大森での上映は、出演者のトークショウなどイ
ヴェントも盛り沢山のようだ。

『三国志』“三國之見龍卸甲”
中国+韓国合作による「三国志」映画。数100人いると言わ
れる原作登場人物の中から、ジョン・ウー監督の『レッドク
リフ』ではフー・ジュンが演じていた趙雲の生涯を描く。
『レッドクリフ』では、最初の方で劉備の妻子救出に向かう
ぐらいでしか活躍していない趙雲だが、原作「三国志演義」
の作者である羅貫中には最も愛された英雄とも言われ、その
記述は多岐に渡っているとのことだ。
本作はその趙雲に焦点を当てて「三国志」の物語を再構築し
ているもので、もちろん劉備の妻子を救出に向かうエピソー
ドを含め、平民の出身でありながら五虎大将軍の1人にまで
上り詰めた武将の生涯が描かれる。
出演は、趙雲役に『LOVERS』『墨攻』などのアンディ
・ラウ。他に、『M:i:V』などのマギー・Q、『カンフー・
ハッスル』などのサモ・ハンらが共演。監督は、ジェット・
リー主演作『ブラック・マスク<黒侠>』などのダニエル・
リー。また、戦闘シーンのアクション監督をサモ・ハンが務
めている。
なお、「三国志演義」の中の趙雲は、記述は多いもののそれ
ぞれのエピソードの脈絡が乏しいようだ。そこで本作ではサ
モ・ハンが演じる同郷の武将を創作し、彼に語らせることに
よって物語の繋がりを構築している。
また、老境の趙雲が戦う敵の将軍として、マギー・Q扮する
曹操の孫娘(原作では義理の息子に当たる)を配し、冒頭の
救出劇との間に因縁話を作るなど、いろいろな工夫が施され
ているものだ。
ただし、脚色も手掛けたリー監督によると、「三国志」に記
述された全てのエピソードを詰め込むようなことはしなかっ
たとのことで、物語は極めて判り易く作られている。
しかも歴史が示すように、全体の戦いは趙雲の時代には終ら
なかったものだが、この映画には、その戦いの空しさの様な
ものも見事に描かれており、ただ戦うだけの「三国志」では
ない側面も見せているものだ。
なお、主要なシーンの撮影は敦煌など中国本土で行われてお
り、本物の雪の舞う中での戦闘シーンは迫力満点。また、故
郷に凱旋した趙雲を村人たちが讃えて演じる影絵芝居などに
も興味深いものがあった。

『みんな、はじめはコドモだった』
大阪の朝日放送が新社屋完成記念に製作した5人の監督によ
る子供をテーマとしたオムニバス。最初は記念イヴェントと
しての上映のみの予定だったが、評判が良かったために一般
公開されることになったそうだ。
その1本目は阪本順治監督の『展望台』。通天閣を舞台に、
閉館してエレベーターも止まった後に取り残された中年男と
子供の姿が描かれる。正直かなりシビアな物語。でも、最後
の子供のせりふに、いきなり涙腺を直撃されてしまった。子

[5]続きを読む

11月30日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る