ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460281hit]

■英国王給仕人に乾杯、悪夢探偵2、戦場のレクイエム、ソウ5、クローンは故郷をめざす
いじめの話、第3作で母親の話を描く予定だったようだ。し
かし、今回その2つの話を1つに纏めたことで、当初構想さ
れた3つの物語は完成となった。
従ってそれで終りかと思いきや、塚本監督の考えはそうでは
ないようで、逆にこれからは自由に続編が描けるとのこと。
監督の頭の中には実験的なものも含め、いろいろな構想がす
でに挙がっているようだ。
特に本作では、作品中に同級生が描いたという設定で登場す
る絵画にインパクトがあり、不思議な雰囲気を作り出してい
たので、そのアニメーション化なども面白そうだ。これから
はそれらの作品が実現することにも期待したい。

『戦場のレクイエム』“集結號”
第2次大戦後の新中国が建国に向かう国共内戦の中で、3大
戦役の1つに数えられる1948年11月6日に始まった淮海戦役
と、その戦いに従軍し歴史に翻弄された1人の男性の人生を
描いた人間ドラマ。
主人公は、人民解放軍中原野戦軍第2師139団3営第9連隊の連
隊長。華東地方での市街戦で国民党軍を包囲するも待ち伏せ
に遭い、仲間の多くを失ったことから激昂、捕虜を虐待した
ことで軍律違反に問われる。そして、連隊は淮河の最前線に
送られることになる。
そこでの命令は、「旧炭坑を正午まで守り切り、集合ラッパ
を合図に随時撤収する」というもの。しかし激戦の中、重傷
を負った部下の1人が集合ラッパを聞いたと主張するものの
部下たちの意見は分かれ、主人公は戦闘続行を命令する。
その結果は主人公を残して連隊は全滅、主人公は部下たちの
遺体を炭坑に安置するが…
やがて、主人公は戦場から救出される。ところが中原軍はす
でに再編されて記録が散逸。彼自身の身分も不明で第2師団
の隊員は消息不明の扱いとなっていた。しかも、彼が遺体を
安置した炭坑は戦闘で入り口が埋もれ、発見することができ
なかった。
その上、新国家の中では内戦での戦死者は「烈士」として遺
族への配給が優遇されるのに対して、行方不明者は「失踪」
として冷遇される現実が待ち構えていた。そんな中で主人公
は自分が集合ラッパを聞き逃し、部下を死に追いやったとの
自責の念に駆られる。
こうして主人公は、部下たちの遺体を発見し、彼らの名誉を
回復する責務を負うことになる。
物語は実話に基づくもののようだが、原作とされるのはわず
か3ページの短編小説。それは戦友の名誉回復に奔走した男
性を描いたもので、その物語に感銘を受けた監督が一大絵巻
に作り上げた。
その映画の中で主人公は、淮海戦役の後も義友軍として朝鮮
戦争に赴くなど、映画の前半は戦闘シーンの連続するものに
なっている。そこには中国映画史上最大の製作費が注ぎ込ま
れたというリアルな戦闘が展開される。
しかし本作で最重要なのはその後の人間のドラマであって、
それを『女帝[エンペラー]』などのフォン・シャオガン監督
が見事に描き出した作品だ。
主演は、シャオガン監督の『ハッピー・フュネラル』『イノ
セント・ワールド』に出演し、本作が初主演のチャン・ハン
ユー。それに『レッドクリフ』に出演のフー・ジュン、若手
のダン・チャオ、ユエン・ウエンカン、タン・ヤンらが共演
している。特に若手には、中国映画界のこれからの注目株が
揃っているそうだ。

『ソウ5』“Saw 5”
毎年、今頃の定番となった『ソウ』シリーズの第5弾が、日
本では11月28日に公開されることになった。
2004年にスタートした本シリーズの監督は、第1作のジェー
ムズ・ワンの後、第2作から第4作はダーレン・リン・ボウ
スマンが担当したが、今回は新たに第2作以降のプロダクシ
ョン・デザインを担当していたデイヴィッド・ハックルが起
用されている。
一方、脚本には第4作のパトリック・メルトン、マーク・ダ
ンスタンが起用されており、実は、第4作以降はオリジナル
から発展したいわゆるシリーズものとしての新たな展開を求
めるとしていた方針が、ここで確立されたものだ。
と言っても、狂気の死刑執行人が仕掛ける死の罠を、如何に

[5]続きを読む

10月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る