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On the Production
by 井口健二
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■第154回
紹介したように“Public Enemies”の撮影開始は3月10日と
なっており、その前に撮影を行うならもう実際に動いている
ということだろう。
 またローは、主演の“Repossession Mambo”という作品が
ポストプロダクション中とのことで撮影は完了しており、次
の“King Conqueror”はまだ話し合いの段階で、これなら今
回の撮影には支障なく参加できそうだ。
 さらにファレルは、主演した“Pride and Glory”という
作品は完成済で、次の作品の“Dirt Music”はまだプレプロ
ダクションの段階となっており、こちらも身体は空いてる状
況のようだ。
 ということは、撮影期間に問題があるのはデップだけで、
彼のスケジュール調整さえできれば、実現は可能となってい
たものだ。もっとも3人の撮影はばらばらで良いものだが、
その他の出演者とのスケジュール調整は必要になる。それと
もう1点重要なのは、その経緯を説明する脚本の改訂だが、
これもストライキの終結で順調に行うことができたというこ
とで、3人の計画参加が実現したものだ。
 実は、前回の記事はまだ噂の段階で書いていて、その後は
なかなか公式の報告がなくやきもきしていたが、今回は信用
の置ける海外のデータベースにも掲載されたもので、これで
ようやくすっきりできたところだ。
 それにしても、故ヒース・レジャーに加えて、デップ、フ
ァレル、ローの共演が実現するとは大変なことになったもの
だが、この作品の配給権については、クロアチアを除いてま
だ契約されていないようで、これからカンヌ映画祭などでの
争奪戦が激化しそうだ。因に、製作を行っているデイヴス・
フィルムスは、過去には『バイオハザード』や『サイレント
・ヒル』などを手掛けているが、ハリウッドの大手などは付
いておらず、各国の配給権はばらばらに契約が進められる。
各社の買い付け担当者の腕の見せ所になりそうだ。
        *         *
 お次は、『ノー・カントリー』でアカデミー賞を受賞した
コーエン兄弟が、再びピューリッツアー賞受賞作家の作品の
映画化に、脚本と監督で挑むことが発表された。
 発表されたのは、2001年に受賞したマイケル・シェイボン
が、2007年に発表した長編小説“The Yiddsh Policemen's
Union”の映画化で、原作の内容は、アメリカ政府によって
進められたユダヤ人のアラスカ入植計画と現地の先住民との
問題を背景に、ヘロイン中毒のチェスの天才の殺人事件を巡
って、凶暴な警官が登場する物語とのことだ。
 何ともコーエン兄弟らしい題材だが、製作は『ノー・カン
トリー』と同じくスコット・ルーディンが担当する。ただし
原作の映画化権はコロンビアが獲得しているもので、製作会
社は同社、配給もソニーとなるものだろう。因にシェイボン
は、2004年に『スパイダーマン2』のストーリーを提供した
ことでも話題になったもので、製作会社との関係は浅からぬ
ものがある。
 一方、ルーディンは、シェイボン作品に関わるのは2000年
の『ワンダー・ボーイズ』以降、本作が3作目。本作の前に
は2001年の受賞作“The Amazing Adventure of Kavalier &
Clay”の映画化も、シェイボン自身の脚本により、パラマウ
ントで進行中となっている。
 またコーエン兄弟は、ワーキング・タイトルとフォーカス
フューチャーズ宛に2作品の契約を実行中で、現在は“Burn
After Reading”というスパイコメディ作品のポストプロダ
クション中。さらに『ファーゴ』のようなダークコメディと
される“A Serious Man”という作品の準備を進めており、
本作はその後の作品となるようだ。
        *         *
 ネット書店の最大手Amzon.comが、満を持して映画製作に
乗り出すことを発表した。
 発表された計画は、キース・ドノヒュー原作による“The
Stolen Child”というファンタジー小説の映画化。物語は、
少年の時にいたずら妖精に誘拐された男性と、その後釜とし
て人間界に潜り込んだ妖精のそれぞれを主人公にした冒険が

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03月01日(土)
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