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On the Production
by 井口健二
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■永遠の魂、タクシデルミア、黄金の羅針盤、恋する彼女西へ、トゥヤーの結婚、アメリカン・ホーンティング、結婚しようよ
続いては、大食いチャンピオンだった父親の話で、共産主義
のソ連影響下のハンガリーでライヴァルやソ連代表との戦い
が繰り広げられる。最後はその息子の剥製師の話で、巨大化
した父親の剥製を完成させ、そして…と続くものだ。
まあ文章で書くとこんなものだが、実際の映像はかなりグロ
テスクで、しかも破廉恥で、NHKが拒否したのも理解でき
るところだ。しかし、それを乗り越えたところにこの作品の
価値があると言われれば、それもそうとも言える。
試写会では、特に女性からは「気持ちが悪くなった」などの
発言が聞かれたが、僕自身の正直な感想は、やるならもっと
突き詰めて欲しかったところで、その辺はちょっと中途半端
にも感じられた。
物語は、結末として主人公が自分の剥製を作る過程を描き、
生命維持装置を使って行動力を保ちながら身体の末端部分か
ら剥製化して行き、最後は右腕と頭部だけになって…という
作業が描写される。実はこれがなかなかのもので、これは見
ていて納得ができた。
そう言えば、昔のソ連で自分の盲腸に手術をしたという医者
のニュースを見た記憶があるが、監督はそこからのインスパ
イアされたのかな。
それにしてもこの最後の話は、SF映画ファンならニヤリと
するかなり強烈な話ではあった。でもここまでやれるなら、
もっとこの部分を突き詰めて描いて欲しかった感じもすると
ころで、特に、ただ下品なだけの祖父の話などは飛ばして、
最後をちゃんと描いて貰いたかった。勿論、だからといって
NHKが認める作品になる訳ではないが。
なお前半2つの物語は、本作に出演もしているLajos Parti
Gagyという作家の短編小説の原作によるようで、最後の息子
の話だけが監督の創作とのことだ。それで前半もちゃんと描
かなくてはならなかったのかも知れないが、出来ることなら
監督の創作部分だけでの再映画化を期待したいものだ。
『ライラの冒険・黄金の羅針盤』“The Golden Compass”
海外では、His Dark Materialsと呼ばれるフィリップ・プル
マン原作のファンタシー3部作、その第1部の映画化。
その世界は、我々の住む世界とはちょっと違う。そこに生き
る人々には、皆ダイモンと呼ばれる守護動物がいて、精神の
一部を分かち合っている。そして世界は、教権という組織に
支配され、その教権はさらに力を増そうとしていた。
物語の主人公のライラは、お転婆で嘘も平気で吐くような少
女。オックスフォードの大学に務める叔父の庇護の許にいる
が、叔父は研究のために出掛けて滅多に帰ってこない。そん
な叔父から、一つの品物がライラに託される。
「黄金の羅針盤」それは物事の真実を指し示すもので、昔は
沢山あったが、今はほとんどが教権によって回収され、ライ
ラが受け取ったのは、正にその残された最後の1個だった。
そしてそれを巡って教権が動き出す。
一方、ライラの叔父は教権の権力の許となっている主張を覆
す事実を北の地で発見し、その確認のために旅立つ。そして
ライラも、1人の女性の手助けによってその後を追うことに
なるが…
ちょっと中世のような町並や、その中に不思議なメカを搭載
した飛行船が登場するなど、雰囲気には宮崎駿や大友克洋の
アニメを感じさせるものがある。物語も少女が主人公だし、
1995年に発表された原作がそれらの影響を受けた可能性はあ
りそうだ。
そんな訳で、異世界ファンタシーの物語ではあるが、どちら
かというと日本の観客にも親しみやすい作品と言える。
ただし『LOTR』のような壮大なスケールを期待すると、
それほどのものではない訳で、上映時間が2時間弱というこ
ともあるが、多少物足りなさを感じるところもある。しかし
基本お子様向けの作品と考えれば、これで充分なものではあ
るのだろう。
出演は、ライラ役に15,000人のオーディションで選ばれた新
星ダコタ・ブルー・リチャーズ。原作のファンで、演じるの
は自分しかいないと考えて応募したという読者の代表だ。
他に、ダニエル・クレイグ、ニコール・キッドマン、エヴァ
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01月20日(日)
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