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On the Production
by 井口健二
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■ウォーター・ホース、団塊ボーイズ、クリアネス、君のためなら千回でも、シスターズ、東京少年、NEXT
の革ジャンでバイクを飛ばしていたのだが…今では週末に郊
外を走る程度。そんな4人が、ある日、家を飛び出し家族も
捨てて、西海岸を目指すロングライドに乗り出す。しかし、
行く先々には週末ライダーには過酷な、いろいろな苦難が待
ち構えていた。
上記の4人にレイ・リオッタやメリサ・トメイらが絡んで、
言ってみれば中年男の願望充足のような物語が展開する。そ
して締めには、バイク映画には付き物のピーター・フォンダ
も登場する仕組みだ。
結構派手な爆発シーンやそこそこのバイクアクションもあっ
て、願望充足とは言っても部外者にも充分に楽しめる作品に
なっている。その辺は、さすがにこのメムバーが揃うだけの
ことはあるという作品だ。そして本作は、2007年アメリカの
年間興行成績で堂々第11位にランクインしている。
まあ、物語は単純で良いなあという感じのものだし、その展
開にも奇を衒ったところもほとんど無く、そういった純粋さ
が興行成績を押し上げたのかも知れない。そういう作品で勝
負できるのも、ハリウッド映画の強みなのだろう。
なお、登場するバイクはハーレーが中心だが、テレビ番組の
“American Chopper”が人気となっているポール・タトル父
子の協力で、いろいろ著名なバイクが登場するのも、バイク
ファンには評判のようだ。
『クリアネス』
最近、何かと話題の多いケータイ小説からの映画化。
昨年公開の『恋空』にはパクリ疑惑が出ているそうだが、今
回チェックのためにその情報を検索していたら、主人公と並
んで金髪の男のいる写真が出てきて笑ってしまった。
実は本作のポスターにも同様の写真が登場しているはずで、
それがパクリであるかどうかは別として、ケータイ小説のレ
ベルというのは所詮そんなものなのだろうという感じがした
ものだ。
パクリの他にも、ケータイ小説というのは会話ばかりで情景
描写が疎かだとか、いろいろ批判があるようだ。
従ってその映画化には、情景描写を相当に補わなくてはなら
ないということで、脚本家の腕の見せ所となるが、今回の作
品はこれが『時効警察』のスタッフと聞いて、テレビ出身者
に危惧を感じている者としては、それも少し心配になった。
ということで、かなり心配しながら行った試写会だったのだ
が、これが意外とまともに観られる作品になっていた。
物語は、一人暮しの自宅マンションでウリをやっている女子
大生が主人公。彼女の部屋の窓からは向かいのオフィスが見
えるが、そこはどうやら出張ホストの事務所らしい。そして
彼女は、その中の髪を金髪に染めた若者に目を留める。
その彼は、仕事が終るとベランダで熱心にメールを打ち、ど
こかに送信している。そんな彼を見ているのが好きな彼女だ
ったのだが…。ある日、面倒な客に手を焼いていたとき、突
然、彼が彼女の部屋にやってくる。
こんな風俗絡みの話が一般的になってしまったのかというの
も感慨だったが、実は本作では、そんな設定の物語なのに、
若者の男性が映画の中でアルコール飲料を一切口にしないと
いう点が気に入ってしまった。
物語の中で、主人公より年下の男性は未成年で、実際に演じ
ている俳優も未成年ということもあるのかも知れないが、彼
の部屋の冷蔵庫にはポンジュースがぎっしりというも愉快だ
ったし、旅先でもジュースしか飲まない。
最近の風潮として未成年の飲酒が容認されているというか、
特にホストという役柄では飲酒の描写は避けられないように
も思えたが、実際に飲酒のシーンはないし、またそれが取り
立てて説明されてもいない。これには感心した。
因に監督は、『地下鉄に乗って』などのベテラン篠原哲雄と
いうことで、そこに大人の見識が感じられたのも気に入った
ところだ。
主演は、新人だがキム・ギドク作品に出演経験があるという
杉野希妃と、テレビドラマ『ライフ』などの細田よしひこ。
他に哀川翔らが脇を固めている。
物語の展開はかなり強引だし、他愛ない男女の物語ではある
が、舞台は東京を起点に関西から沖縄にまで広がって、主人
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01月13日(日)
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