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On the Production
by 井口健二
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■ココシリ、奇跡の夏、ブギーマン、ハチミツとクローバー、ビースティ・ボーイズ、ダ・ヴィンチ・コード
のは映画のテクニックだと考えるが、それを絵空事にせずに
無理なく描き切るのは相当に難しい。この作品は、そんな微
妙なところでも成功していると言えそうだ。
小児ガンの現実も、さりげなく、それでいて明確に描かれて
いるようにも思えたし、映画の全体が、足が地に着いた作品
のように感じられた。
脚本は、ハリウッドリメイクされた『イルマーレ』のキム・
ウンジョン。原作は実の姉が書いたものだそうだが、この前
作の題名を見るとファンタスティックな展開も納得できた。
監督は、本作がデビュー作だがそれまでに撮影、照明などの
スタッフ歴を持つイム・テヒョン。
因に、本作は2005年のニュー・モントリオール国際映画祭に
出品され、主演のパク・チビンが男優賞を獲得している。当
時10歳の少年の受賞は世界中で開催されている映画祭史上最
年少ではないかと言われているようだ。

『ブギーマン』“Boogeyman”
クローゼットに隠れて子供たちを襲うブギーマン伝説を題材
にしたサスペンス・ホラー作品。製作は『スパイダーマン』
のサム・ライミが主宰するゴースト・ハウス。アメリカでは
『バイオハザード』などを手掛けるソニー傘下のスクリーン
・ジェムズが配給した。
主人公は、少年の頃に父親がブギーマンによってクローゼッ
トに引き摺り込まれるのを目撃する。しかしそれは、突然父
親が家出した現実に対する自己防衛の妄想と解釈され、誰に
も信じてもらえない。
そして15年が経過。大人になった主人公はジャーナリストと
して成功し、雑誌の副編集長の地位にあるが、今でもクロー
ゼットは恐怖の対象だ。そして事件後は疎遠になった母親が
亡くなり、その葬儀の後、彼は遺品の整理のため生家を訪れ
ることになるが…
物語ではMissing Childrenの現実とブギーマンの伝説が微妙
に絡み合う。ホラーとは言っても、大量の人捜しのポスター
などを見せられると、何となく解決しなければならない使命
感みたいなものも生じる。その辺が旧来のホラーとは違った
描き方と言えるのだろう。
まあ、何か違いが無ければライミも製作はしなかったのだろ
うが…。一種の都市伝説ものとも言えるこの手の作品では、
こういった味付けの違いがニューホラーとでも呼びたくなる
ところだ。その他にも微妙な味付けが随所にあるのも楽しい
作品だった。
脚本は、ジュリエット・スノードン、スタイルズ・ホワイト
という夫妻コンビだが、次回作では超自然現象を扱ったサス
ペンス作品が、ウェス・クレイヴン製作で進められており、
ライミ、クレイヴンの眼鏡に連続して適うとはかなりの実力
のようだ。
監督は、1997年『死にたいほどの夜』などのスティーヴン・
ケイ。なおプレス資料では、1999年にTVシリーズを映画化
した“The Mod Squad”(モッズ特捜隊=映画版は未公開)
の題名が挙がっていたが、アメリカのガイドブックの紹介で
は別名義になっているものだ。
また、VFXを利用したブギーマンの姿は、“Lord of the
Rings”にも参加しているニュージーランドのOKTOBOR社が手
掛けており、スピード感あふれる映像を作り出していた。
なお、試写会の後で、『ナルニア』と併映すればいいなどと
言っている人がいたが、この作品の対称となるのは、どう考
えても『モンスターズ・インク』の方だろう。もう忘れられ
てしまったのかも知れないが。

『ハチミツとクローバー』
羽海野チカ原作の人気コミックスの実写映画化。東京の美大
に通う5人の若者たちの青春が描かれる。
主人公は美大建築科の3年生。その美大には一教授を中心に
した学部を横断するグループがあり、主人公もその仲間だ。
ところがその教授の姪が特待生として絵画科に入学。一方、
8年間彫刻科に在籍する先輩が海外放浪から帰国。そして、
主人公と先輩の2人が、教授の姪に恋をして…
他にも、社会人の先輩女性に片思いしストーカー紛いを続け
ている男子学生や、その男子学生に片思いの女子学生など、
主人公やその周囲でのいろいろな恋愛関係が描かれる。

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05月14日(日)
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