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On the Production
by 井口健二
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■第104回
いう作家の“The Five Ancestors”と題された7巻シリーズ
の映画化がパラマウント傘下のニケロディオンで進められる
ことになった。
この計画は、『レザボア・ドッグ』から『キル・ビル』ま
でのクエンティン・タランティーノ監督と一緒に仕事をして
来たプロデューサーのローレンス・ベンダーが、新たにファ
ミリーピクチャー専門のニケロディオンと結んだ2作品の契
約の一角を成すもので、原作は、全7巻の内の最初の2巻の
“Tiger”と“Monkey”が昨年中に刊行され、さらに第3巻
の“Snake”が3月に刊行予定となっている。
物語は、17世紀の中国を舞台に、それぞれ異なる動物のカ
ンフーを学ぶ5人の若い僧侶が繰り広げる冒険物語というこ
とで、つまり最初の3巻はそれぞれ虎拳、猿拳、蛇拳という
ことになるようだ。しかし5人の僧侶で7巻は数が合わない
が、実は物語の全体は彼らが修業している秘密の寺院が外敵
の攻撃を受けており、それを撃退するという展開のようで、
最後の2巻はその大団円ということになるのだろう。具体的
な映画化の計画は紹介されていないが、原作が未完では映画
化もシリーズにならざるを得ないところだ。
それと、ベンダーがニケロディオンと結んだ契約のもう1
本は、“Holy Cow”という題名で、こちらはCGIアニメー
ション長編として製作することが発表されている。
物語は、モンタナ州の牧場でバンブーと名付けられた若い
雄牛が、友達になった芋虫からインドという国では牛が聖な
る動物として自由に生活していると聞かされ、2匹でその国
を目指して冒険の旅を行うというもの。これに、口煩いニワ
トリも加わっての珍道中が繰り広げられるようだ。昨年公開
されたニューヨークの動物園からアフリカを目指す話と似て
いるような気もするが、脚本はテッド・グレンナンとピータ
ー・カルンバックという脚本家が執筆しているものだ。
なお、長年タランティーノと仕事をしてきたベンダーは、
実は以前からファミリーピクチャーを手掛けたかったのだそ
うで、今回はもう1人のプロデューサーのカレン・バーバー
と共にニケロディオンとの契約を取り付け、めでたく思いを
遂げることができたということだ。また、1本目の作品は、
2005年3月1日付の第82回などで紹介した“Magic Kingdom
for Sale”なども手掛けるアンディ・コーエンというプロデ
ューサーが原作本をベンダーに紹介したもので、コーエンは
本作では製作総指揮を担当することになっている。
* *
今回はシリーズ物の情報が多いが、もう1本はイザベル・
アレンデ原作の“City of the Beast”という3部作になる
物語の映画化を、『ナルニア国物語』の大成功で意気上がる
ウォルデン・メディアで行うことが発表されている。
お話は、母親の療養中、エキセントリックな祖母ケイトの
許に預けられた15歳の少年アレクサンダーが、「ビースト」
と呼ばれる背丈9フィートの伝説の生物を探すために南米ア
マゾンに赴くことになり、最初は渋々だったものの大河を旅
する内にその姿に魅せられて行く。そして同じく10代の少女
ナディアと巡り合い、共に超現実的な旅を続けるが、やがて
2人はアマゾン奥地の「霧に棲む人々」に誘拐され、さらに
神秘の黄金都市エルドラドや「ビースト」を発見することに
なる…というもの。実在のアマゾンが舞台なので、いわゆる
異世界ファンタシーとは異なるが、かなりファンタスティッ
クな物語が展開されるようだ。
そしてこの原作は、2002年にハーパーコリンズから刊行さ
れたものだが、この作品の後には“Kingdom of the Golden
Dragon”“Forest of the Pygmies”という作品が続くとい
うことで、ドラゴンと、それにアマゾンでピグミーとはかな
り不思議な物語が展開することになりそうだ。因に、原作者
のアレンデは、1993年にジェレミー・アイアンズ、メリル・
ストリープらの共演で映画化された『愛と精霊の家』(The
House of the Spirits)と、1994年にアントニオ・バンデラ
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02月01日(水)
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