ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460121hit]
■リバティーン、転がれ!たま子、ウォレスとグルミット、沈黙の追撃、アブノーマル・ビューティ、僕の彼女を知らないとスパイ、ジャケット
閉じ込もって甘食さえあれば満足という生活。そして彼女の
頭には、彼女が幼い頃に家出した父親の作った鉄兜が被せら
れている。
そんな彼女に手を焼いた母親は、自分の甘食代ぐらい自分で
稼げと宣言し、彼女の幼馴染みの住職の世話で配送会社に勤
めるが、仕事はできずお荷物になるばかり。
ところがいつも甘食を買っていたパン屋の主人が入院し、好
物の甘食が手に入らなくなったことから、彼女は行動を起こ
さざるを得なくなる。そして…
鉄兜に重ね着という主人公のファッションがちょっと奇を衒
い過ぎで、最初はなかなか乗れなかったが、他にもいろいろ
ドぎついキャラクターが登場してくると、だんだん気になら
なくなった。演じている山田麻衣子の個性が親しみ易く、そ
れに救われている面もあるかもしれない。
ただ後から考えると、この鉄兜がいろいろ象徴している感じ
で、特に鉄兜から連想されるRPGにのめり込んだニートの
姿が浮かんできたのは考え過ぎだろうか。結局、その辺の監
督の思い入れがストレートに理解できないことが、本作の問
題のようにも感じられた。
ただし見ている間は、全体的にメルヘンチックな雰囲気が、
若い(と言っても1976年生まれ)女性監督の感性なのかなと
いう感じもして、自分とは違う感覚が珍しくもあり、面白く
もあって、それなりに楽しめた作品だった。
『ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!』
“Wallace and Gromit in The Curse of the Were-Rabbit”
1989年に第1作が作られた「ウォレスとグルミット」シリー
ズの第4作にして、初めての長編作品。ちょっとお惚けの天
才発明家ウォレスと、彼の忠実な愛犬グルミットは、今回は
恐ろしい巨大ウサギとの闘いを繰り広げることになる。
年に1度、トッティントン家のお屋敷で開催される巨大野菜
コンテスト。そのコンテストに出品するため、人々は丹精込
めて巨大野菜を作っている。ところがその野菜を狙うウサギ
たちが現れ、その被害から守るためウォレスとグルミットが
立ち上がる。
まずウォレスは、電子的な監視装置を作って各畑に設置し、
ウサギが現れると彼の家の警報装置が働いて、直ちにグルミ
ットと共にウサギの捕獲に向かうシステムを作り上げる。し
かしウサギは増え続け、それだけでは埒が開かなくなる。
次にウォレスが考案したのはウサギ吸引装置。折しもトッテ
ィントン家の庭を荒らすウサギをこの装置で一網打尽にした
ウォレスは、当主レディ・トッティントンの信用を勝ち得る
が、そこに婚約者と自称する男が現れ、ウサギ退治には猟銃
が一番と主張する。
そしてもう一つ、ウォレスの新発明が登場するのだが、実は
これがとんでもない事態を引き起こしてしまう。そして誕生
した巨大変身ウサギから巨大野菜は守り切れるのか…お屋敷
でのフェスタを舞台に大騒動が巻き起こる。
映画は巻頭で、警報装置が働いてからウォレスとグルミット
が出動するまでの機械仕掛けが登場し、いつもの起床装置に
も増して手の込んだ装置が見事に描かれる。これだけでも彼
らの世界に引き摺り込まれてしまう感覚だ。
正直に言って、物語もテンポも短編映画そのまま、特に長編
だから何かしているということもなく、短編のままの世界が
1時間25分に亙って展開しているという感じのものだ。その
雰囲気がファンには堪らなく嬉しい。
ドリームワークスがアードマン作品を配給するのは、2000年
の『チキンラン』に続いて2作目だが、前作が力の入った作
品であることは認めるものの、やはり今回の普段着という感
じの作品の方が魅力的だ。
ただし、このすでに人気のキャラクターを長編にする方が、
よっぽど勇気の要ることだったのは容易に想像できる。その
勇気が見事に実を結んだ作品。これならファンも納得して見
ていられるというものだ。
なお、製作では一部にCGIも使用されたようだが、全体の
クレイアニメーションの味わいはしっかりと保たれている。
映画の完成後スタジオが焼失するという事態になったが、幸
[5]続きを読む
12月29日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る