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On the Production
by 井口健二
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■第83回
なるのだろうか。
 因にサリヴァンは、ケンブリッジ大卒で、弁護士の資格を
持ちながらスタンダップコメディアンとしてロンドンの舞台
に立ち、そこからイギリス映画界に進出した人物。またイギ
リス映画時代のサリヴァンは、主に古典文学の脚色を手掛け
ていたようだが、1995年に自作のオリジナル脚本を監督した
上記の作品が高い評価を受けた上に興行的にもヒットし、そ
の成功でハリウッドに招かれたということだ。ハリウッドで
はすでにニューライン作品などの脚本や、パラマウントでは
自作を監督する予定もあるそうだ。
 多分、物語はドリームワークス側が用意したものを、サリ
ヴァンが脚色するということになるのだろうが、本シリーズ
は、元々が古典的な妖精物語をベースにマイヤーズやマーフ
ィらのコメディのノリをミックスした作品で、これに古典文
学を脚色してきたという実績や、スタンダップコメディアン
だったという経歴が最大限に発揮されることを期待したい。
 一方、シリーズの関連では、『シュレック2』でバンデラ
スが演じた「長靴をはいた猫」を主人公にしたスピンオフの
計画も報告されている。“Puss in Boots”と題されたこの
作品では、デイヴィッド・H・スタインバーグという人が脚
本を担当、バンデラスの声の出演も決定しているようだが、
公開に関しては劇場にするか、直接DVD売りになるか未定
のようだ。
        *         *
 久しぶりに競作の話題で、パキスタンでの取材中に誘拐さ
れ、殺害された元ウォール・ストリート・ジャーナル記者ダ
ニエル・パールについて描いた作品が2本計画されている。
 その1本目は、記者の未亡人マリアンヌ・パールが発表し
た回想録“A Mighty Heart: The Brave Life and Death of
My Husband Danny Pearl”を映画化するもので、この計画は
2003年にワーナーが映画化権を獲得して、当時の計画ではブ
ラッド・ピットらのプランBが、ジェニファー・アニストン
の未亡人役で製作を進めることになっていた。
 これに対して今回発表された2本目は、フランス人ジャー
ナリストのベルナルド=アンリ・レヴィが、現地調査を敢行
して発表した英題名“Who Killed Daniel Pearl?”という書
籍に基づくもの。この本の中では、パール記者がパキスタン
の諜報機関とアルカイダの関係を暴く証拠を掴んだために殺
されたという筋書きになっているとのことだ。
 そしてこの作品の映画化権をビーコン・ピクチャーズが獲
得し、エド・ズウィックの監督で映画化する計画が発表され
ている。因にビーコン社では、レヴィの本が英訳される前に
映画化権を押さえたそうだ。
 ただし今回の2つの計画では、前者は未亡人によるパール
記者本人の人物像に迫ったもののようだし、後者は事件その
ものを検証した作品のようで、作品のテーマには違いが見ら
れる。従って、競作とは言っても内容は全く違ったものにな
りそうだ。これは逆に言うと、これらの企画を合体すること
も可能なようにも思えるもので、また、後者の監督に予定さ
れているズイックは、『ラスト・サムライ』などワーナーと
の関係も浅くないものがある。ということで、ここは何とか
競作回避という線も考えてもらいたいところだ。
 競作というのは、最近の『アレキサンダー』の例を見るま
でもなく、なかなか両方が上手く行くということがないもの
だが、今回はどうなるだろうか?
        *         *
 ところで、ジェニファー・アニストンとプランBの関係で
は、現在メリル・ストリープとの共演で“Wanted”という作
品がワーナー傘下で進められている。
 この作品は、元潜入捜査官のキム・ウォゼンクラフトによ
る原作小説を映画化するもので、アニストン扮する女性警官
が陥れられて刑務所に収監される。しかしそこでストリープ
扮する囚人と同房になり、刑務所内に横行する暴力から逃れ
るために2人で脱獄計画を練る、というお話。これを“The
Longest Yard”のリメイクなどを手掛けるシェルドン・ター

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03月15日(火)
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