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On the Production
by 井口健二
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■セルラー、恋は五・七・五!、香港国際警察、スパイダー・フォレスト−懺悔−
題だ。
ということで、本来ならこれだけで終りにしてしまってもい
いところだが、本作は内容的にもいろいろ問題があるので、
以下にはそれを記す。なお、以下の文には重大なネタバレが
ありますので、読む人はご注意ください。反転すると読めま
す。
物語は、統廃合によって廃校になろうとしている県立高校が
舞台。その校長が、校名を記録に残すため、全国で開かれる
高校生選手権と呼ばれるものに全てエントリーすることを思
いつく。そこで一つでも優勝すれば、歴史に名が残るという
計算だ。
そんな訳で、主人公たちの全国高校生俳句甲子園大会への挑
戦が始まるのだが…まあこのシチュエーションは理解すると
しても、いくらなんでもその後の展開がいい加減すぎる。大
体、県別の代表が競う全国大会に、このチームがいきなり出
場というのは…
それに、準決勝を終えて次のシーンがいきなり優勝盾という
のも、ちょっと話が飛び過ぎでしょう。確かに準決勝で吹っ
切れたということは描かれているが、それでも決勝のハイラ
イトシーンぐらいは入れておいて欲しいものだ。
この他にも、枝葉末節の事柄はいろいろあるが、正直に言っ
て、主人公が喫煙以外にも、どこで勃起しようとマスを掻こ
うと知ったことではない。でも、少なくとも上記の点ぐらい
は、観客へのサーヴィスとしてクリアしてもらいたいという
感じだ。
監督はUSCで映画の勉強をしてきたそうだが、この作品に
は、まだ学生気分が抜け切っていない、そんな感じがした。
撮影を始める前に、まずは脚本の完成度を高めて欲しいし、
製作者も、この脚本ではまだグリーンライトを出すべきでは
なかったと思う。
『香港国際警察』“新警察故事”
1985年から96年まで4作が製作されたジャッキー・チェン主
演『ポリス・ストーリー』シリーズの再開作。チェンがアメ
リカで正当に評価されるのは、98年の『ラッシュアワー』か
らだから、その直前まで主演し、これを以て香港を離れたシ
リーズとも言える。
そして今回は、アメリカでの成功を引っ提げてのシリーズ再
開と言いたいところだが、正直に言ってアメリカでのチェン
の人気は、最近ちょっと頭打ちの感もあり、本作では心機一
転というか、初心に返って体勢を立て直そうという感じにも
見える。
お話は、チェン扮する香港警察の敏腕刑事と、凶悪犯罪をゲ
ームのように行う若者集団との対決が描かれる。その発端は
1年前、巨額の現金を強奪した一味を追った主人公率いる刑
事課の面々が返り討ちに合い、主人公は現場から命からがら
脱出するが…
そして1年後、事件以来廃人のようになっている主人公の許
に、殉職した刑事の弟と名乗る巡査が現れる。巡査は主人公
を激励し、現場への復帰を求めるのだが、主人公はかたくな
に拒否し続ける。そんな折、犯罪集団が活動を再開する。
アメリカでは、期待されているものが自分の思惑から外れて
いた。そんなことを語るチェンがこの映画で見せるのは、シ
リアスな演技、しかもかなり重い。これはアクションを期待
して見に行った僕には思惑外れのものだった。
ただし、この演技がそれなりに見られたのだから、やりたか
ったのがこれだと言われれば納得せざるを得ない。しかしこ
れがジャッキー・チェンの本領かと言われると、ちょっと疑
問符を挟まざるを得ない。
とは言うものの、1954年生まれで昨年50歳に成ったチェンに
いつまでもアクションを期待するのも酷な訳で、それなりに
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01月14日(金)
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