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On the Production
by 井口健二
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■第63回
イギリスの歴史を描いた経験があり、また『パッション』の
成功で資金も潤沢に用意できるということで、一気にトップ
ランナーに躍り出てきそうだ。
 一般的に歴史ものは事実の映画化なので競作に陥りやすい
ものだが、それにしても4本は多過ぎる。今後は、これらの
計画の間で調整が行われて、多分1、2本にまとめられて行
くことになるのだろうが、そこでもギブスン=イコンは一歩
リードしそうな感じだ。
 なおイコンは、現在はフォックスと配給の優先契約を結ん
でいるが、今回の計画ではフォックスがその権利を放棄する
可能性があるようで、その場合はイコン独自で全世界の契約
を結ぶことになる。ここで何故フォックスが権利を放棄する
かについて理由は明らかでないが、確か『ブレイブハート』
はパラマウントとの共同製作だったが、フォックスはあまり
良い思いをしなかったという話もあり、イギリスが舞台の歴
史ものには会社としてトラウマがあるのかもしれない。
        *         *
 続いてはトム・ハンクスの話題で、『レディキラーズ』で
もちょっと思い上がりの強そうな感じの犯罪者を演じていた
ハンクスが、多少共通点のありそうな小悪党を演じる計画が
発表されている。
 この計画は、1994年にポール・ニューマンの主演で映画化
された『ノーバディーズ・フール』などの原作者としても知
られるリチャード・ルッソの小説“The Risk Pool”の映画
化権を、ワーナーとキャッスルロックが獲得し、ローレンス
・カスダンの脚色と監督で映画化するもので、カスダンはす
でに脚本の第1稿を書き上げたとも報じられている。
 お話は、ニューヨーク暮らしで魅惑的だが、実はこそ泥で
ギャンブラーの男が、疎遠だった妻が突然病に倒れたことか
ら息子を引き取る羽目になるというもの。男は自分の暮らす
世界に息子を連れて行き、それまで過保護だった少年の目に
父親の住む世界は、少し暗くはあるが素晴らしい世界に映る
のだが…。そんな生活の中で、徐々に親子の絆が生まれて行
くというものだそうだ。
 そしてカスダンは、この原作を手に取るなりハンクスの主
演を思い浮かべたのだそうで、実は同じ思いは1988年にウィ
リアム・ハートの主演で映画化した『偶然の旅行者』の原作
を手にしたときにも感じたものだが、その時には実現できな
かった思いを、今回は遂げられるということだ。
 因に、ハンクスとキャッスルロックは、1999年の『グリー
ンマイル』と、今年秋公開の“The Polar Express”の映画
化を一緒に行っており、またカスダンは、昨年春公開された
『ドリームキャッチャー』の映画化をキャッスルロックで行
っている。そして今回は、そのキャッスルロックの仲立ちで
2人が一緒に仕事をするチャンスが生まれたものだ。
        *         *
 なお、ついでに“The Polar Express”に関しては、今年
4月1日付の第60回で、Imax-3Dでの上映計画について報告
したが、その計画が正式に発表されている。
 その発表によると、11月19日の通常版の全米封切りから時
間を置かずにImaxの大画面に登場させるということ。また、
3Dの効果については、テスト版の上映を見学したロバート
・ゼメキス監督が、「観客にこのような経験を味わってもら
えることには、最高の興奮を覚える」と絶賛したコメントも
伝えられていた。
 因に、昨年末の集計でImax-3Dの上映できる映画館は、240
カ所、世界35カ国以上に展開しているそうだ。
        *         *
 昨年8月15日付の第45回で紹介した“The Longest Yard”
のリメイクに、オリジナルに主演したバート・レイノルズの
出演が発表されている。
 この計画では、元々はアダム・サンドラー主宰のハッピー
・マディスンが、サンドラーの出演抜きでパラマウントで進
めていたものだったが、その後、今年2月1日付の第56回で
紹介したように、脚本を気に入ったサンドラー本人が出演を
決め、契約の関係で急遽ソニーとの共同製作となった。そし

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05月15日(土)
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