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On the Production
by 井口健二
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■マスター&C、殺人の追憶、LovelyR、ビッグ・フィッシュ、ハッピー・F、いつかきっと、ディボース・S、ペイチェック、グッド・ガール
かあるが、まあそんなものだろうという感じもする。実際こ
の物語はフィクションなのだし、その意味では面白かった。
なお、この映画の大ヒットを切っ掛けに、事件に対する再捜
査を要求する動きが出たということだ。それだけ韓国国民に
とっては印象深い事件なのだろう。
『Lovely Rita』“Lovely Rita”
オーストリア出身の女性監督ジェシカ・ハウスナーの長編デ
ビュー作で、カンヌ映画祭の「ある視点」部門でも上映され
た2001年作品。ドイツ−オーストリアの合作だが、原題は英
語で表記されていた。
父親はちょっと厳格で、自宅に射撃場を作る程のガンマニア
だが、まずまず普通の家庭の両親と共に暮らすリタ。通って
いる学校ではちょっと浮いた存在だが、頭が悪いふうではな
い。ただし学校はさぼりがちで、通学バスの運転手が気にな
ったりもしている。
また、家では父親に叱られて部屋に閉じ込められたりもする
が、その一方で父親の作業を手伝って照明を付けたり、父親
の誕生日にはプレゼントをして、一緒に歌を歌ったり…。
そんなありふれた少女の日常の中で、何かが徐々に壊れて行
く。そして…。
幸い自分の娘はすでにこの年代を通過しているが、振り返っ
てみると、ここに描かれる父親の姿には思い当たるところが
多々ある。
実際、この映画を作ったのは、撮影当時まだ28歳だった女性
なのだし、ここに描かれる内容のかなりの部分は彼女の心情
を表わしていると考えていいだろう。そう思ったときに、自
分が自分の考えていたような父親だったと言えるか、そんな
ことを考えさせられた。
同様の世代を描いた作品では、2003年7月16日付で紹介した
『KEN PARK』が近いと思うが、昨年の作品が、衝撃
的な映像の割りには内容的に覚めた感じだったのに対して、
この作品は映像自体は淡々と描かれているのに何か突きつけ
られるものを感じた。
なお、本作の撮影はDigital Videoで行われたようだが、色
調その他でVideoと感じる部分はあったものの、画質の点は
問題ないように思えた。日本のHDでないDV作品の画質は
劣悪なことが多いが、何が違うのだろう。
『ビッグ・フィッシュ』“Big Fish”
ダニエル・ウォレス原作の映画化。ティム・バートン監督の
最新作。
主人公の父親は無類の語り部。主人公の結婚式でもその語り
口調で招待客を魅了し、その日の主役が誰かも忘れさせてし
まう。しかもその内容は、金の指輪に目のない巨大魚や、魔
女や、ユートピアのような町など、荒唐無稽なものばかり。
そんな父親の語りを子供の頃から何1000回も聞かされて育っ
てきた主人公は、世界でただ一人の父親の話に耳を傾けない
人間。そしてその日、ついに父親と仲違いをしてしまう。
それから3年、父親が突然倒れたとの知らせに、身重の妻と
生家に戻った主人公は、ふと荒唐無稽と思われた話に真実が
含まれていたことを知る。そして父親の謎に包まれた人生を
調べ、父親を理解しようと思い立った主人公は…。
独自の視点でファンタシーを作り続けてきたバートン監督に
は、スティーヴン・スピルバーグ以上に大人になり切れない
大人子供の感じが持たれていた。従って彼の作品には、若年
層には受けても大人の観客には受け入れられないという評価
が定着していたようだ。
それがこの作品では、間違いなく大人の映画を作り上げてい
る。しかも、スピルバーグは実話の映画化など現実的な内容
に頼らなくてはならなかったのに、バートンは堂々と自らの
ファンタシー世界でそれをやり遂げてみせたのだ。
もちろん、アルバート・フィニー、ユアン・マクレガー、ダ
ニー・デヴィートらのしっかりした演技がそれを支えたとも
言えるが、常にファンタシーと現実との間にいるような、そ
んなバートンの特有の雰囲気が、この物語に見事にマッチし
たとも言えそうだ。
なお、バートンの次回作は、“Charlie and the Chocolate
Factry”。ロアルド・ダール原作のファンタシーの2度目の
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01月31日(土)
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