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On the Production
by 井口健二
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■東京国際映画祭(後)
そして彼女は歌手を目指しバンドに参加しているが、そのバ
ンド活動も家事のために思うように行かない。      
ところがある日、彼女が妹を迎えに行かなかったために、代
りに行った幼い弟が大怪我で意識不明の重体になる。これを
きっかけに母親と罵りあった主人公は家出し、彼女の歌に興
味を持っていると連絡のあったテル・アヴィヴのレコード会
社へと向かう。結局、彼女には父親の死について負い目があ
り、それを詩にして歌うことで自分自身に相対することがで
きるようになる。そして家へと帰って行く。       
まあ、ちょっと普通ではない部分もあるが、大体のところは
どこの国にもある家族の危機と、そこからの再生の物語だろ
う。ただ、これがイスラエルの作品だというところがどうし
ても引っ掛かる。何しろ映画の中ではパレスチナのパの字も
出てこないし、全く平和な風景が展開しているのだ。   
もちろんイスラエルだからと言って、いつも戦争の話をして
いる訳ではないし、逆に言えば、そんな環境の中でもこれだ
けの作品を作れるということに感心した。        
                           
『シティ・オブ・ゴッド』(ブラジル)“Cidade de Deus”
リオ・デ・ジャネイロ郊外にあるスラム街「神の街」を舞台
にしたドラマ。1960年代から80年代に亙る街のちんぴらギャ
ングたちの抗争の歴史が描かれる。           
最終的に写真家を目指すことになる少年の目を通して、3代
に亙るギャングのボスたちの姿が描かれるが、これらがすべ
て20代に行くか行かないかの若者の話というのが凄い。それ
こそ10歳にも満たないような子供たちが拳銃を持ち、大人を
襲うのだ。                      
「神の街」は平地にあり、『黒いオルフェ』や『ガール・フ
ロム・リオ』に描かれた山側のスラム街とは違うようだが、
原作は、そのスラム街に10歳から9年間暮らした人が書いた
小説だそうで、解説によると全て実話に基づいているという
ことだ。                       
映画は、2時間10分の大作だが、いくつかのエピソードに分
けてストーリーを明確にし、また、ラッシュバックを多用し
た編集も巧みだし、同じシーンを別角度で撮ったり、あるい
は人物の回りをカメラが一周したりといったテクニックを駆
使して、長丁場を飽きさせない。            
出演者たちは、すべてスラム街でオーディションした素人と
いうことだが、かなりドキュメンタリータッチで描かれてい
るので、演技力と言うより演出力でカヴァーしている感じだ
が、それでも拳銃などの使い方が巧みなのは、ちょっと恐ろ
しい感じもした。                   
この作品もアウト・オブ・コンペティションになってしまっ
たが、特にこの作品とイランの作品は、もったいない感じが
した。                        
                           
(特別招待作品)                   
『ゴジラ×メカゴジラ』                
今年も東宝正月怪獣映画の初披露が行われた。      
今回の作品は、2000年度作品を手掛けた手塚監督の下、主演
の闘うヒロイン釈由美子が、バイオメカで建造されたメカゴ
ジラを駆使して、ゴジラに挑む作品だ。         
ゴジラ映画での闘うヒロインというと、00年作品の田中美里
が良かったが、今回の釈も負けてはいない、特にエンディン
グで見せる敬礼の姿は、前作の金子作品でのいい加減さで批
判されたのを受けたのか、見事に決まっている。     
特撮は、生物のゴジラはどうしても動きが緩慢だが、対する
メカゴジラの動きの俊敏さが上手く描かれていた。組打ちは
如何せん腕が短いのでちょっと様にならないが、メカゴジラ
はバックパックのロケット噴射で空中を飛び回るなどアクシ

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11月04日(月)
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