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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File003】時代劇なのか戦争映画なのか、はたまた・・・
さて、次に作品の描かれた時代設定による区分を見てみましょう。
世界史の年表片手に分類してみると、大体以下の11区分に分類出来ます。
T.古代の戦いを描いた作品
古代ギリシャや地中海世界、ローマ帝国、中国の秦や漢の時代の戦い
U.中世の戦いを描いた作品
東西ローマ帝国、十字軍、騎士物語、神聖ローマ帝国、レコンキスタ、百年戦争、薔薇戦争、三十年戦争、中国の唐、元の時代の戦い
V.近世の戦いを描いた作品
フランス革命、アメリカ独立戦争、ナポレオン戦争、クリミア戦争、アヘン戦争、太平天国の乱等の時代の戦い
W.近代(第一次世界大戦以前)の戦いを描いた作品
南北戦争、戊辰戦争、普仏戦争、義和団の乱、日清戦争、日露戦争等
X.第一次世界大戦を描いた作品
ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、極東、南米の各戦線を舞台にした作品
Y.両大戦間の時代を描いた作品
ロシア革命、ファシズム台頭、満州事変、日華事変、スペイン戦争等
Z.第二次世界大戦を描いた作品
ヨーロッパ、ロシア、アフリカ、太平洋、中国大陸の各戦線を舞台にした作品
[.大戦後・朝鮮戦争を描いた作品
各植民地の独立、朝鮮戦争、東西冷戦の始まり等
\.インドシナ・ベトナム戦争・冷戦・植民地紛争を描いた作品
インドシナ・ベトナム戦争、アフリカ植民地紛争、中東戦争、中南米紛争、東西冷戦等
].現代の戦争を描いた作品
国境・民族・宗教紛争、フォークランド戦争、イランイラク戦争、湾岸戦争、共産主義崩壊、ユーゴ紛争等
XI.未来・未知の戦争を描いた作品
第三次世界大戦、宇宙戦争、怪獣要撃戦・・・等
と、まあ大雑把に分類してみました。
作品数の比率としては圧倒的に「Z.第二次世界大戦」が多いです。
しかしながら、この分類には以下の問題点が残ります。
【時代区分上の問題点】
@う〜む、時代劇or歴史ドラマ?
T〜Vの時代区分に含まれる作品は、世間一般では「歴史ドラマ」として分類、認知されており、特に古代ギリシャやローマの英雄や皇帝たち、中世の王侯・騎士、ナポレオン等は歴史上の人物として描写され、戦争・戦闘シーン自体も英雄たちの物語を彩るドラマの1シーンとして描かれている場合が多いです。日本の時代劇における源平の合戦や戦国時代の武将(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康含む)合戦等もまた同様。ただしナポレオンに関しては海外、国内に根強いファンが多く、またこの時代から戦闘の形態が変わってきたこともあり、戦争映画におけるひとつの分野として区分することは可能だと思われます。
Aやっぱ西部劇か〜ッ!
Wの時代における「南北戦争」を描いた作品は、映画ジャンルの中でも既にその地位を確立している「西部劇:ウェスタン」に分類され、一般に認知されていると言えます。また合衆国騎兵隊の対インディアン(差別用語なのか?ネイティヴアメリカンって言わなきゃダメなのか)戦を描いた作品も、また然りです。遡れば「テキサス独立」なんかもそうでしょうね!
B残念ながら日本だけか
同じくWに分類される「日清戦争」「日露戦争」を描いた作品は、その殆んどが邦画の為、海外で余り評価されているとは言えず、あくまでも日本の時代劇的評価だと思われます。
以上のような理由から、分類Xの「第一次世界大戦」以降の戦いを描いた作品から、やっと「戦争映画」として独り立ち出来ていると言えるのではないでしょうか。そうそうXIに含まれる「宇宙戦争」や「怪獣要撃戦」ってのは、やっぱSF映画か特撮映画の分野なんでしょうね・・・。【続く】
10月25日(木)
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