ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File106】マカロニ戦線異状アリ・・・珍説イタリア戦争映画史《傾向と対策B》
イタリア映画で日本国内公開作は極端に少ない。1993年フェリーニが死去し映画界は精神的象徴を失った。また1990年代は旧ソ連の崩壊に象徴される様に大きく社会体制が変革し、ひとつの時代が終わったと言えるが、かつて映画人の多くが共産党を支持していた為、彼等も変革の波に直面する事になった。二世監督や俳優出身監督たちの活動も目立つ。この年代にデビューした監督たちには「アメリカから来た男(1991)」のアレッサンドロ・ダラトリ、「フライト・オブ・ジ・イノセント(1992)」のカルロ・カルレイ等がいる。特に「フロリステッラへのアクラの下降(1992)」のアウレリオ・グリマルディは、以降「シチリアの娼婦たち(1994)」「パゾリーニ・スキャンダル(1996)」「肉屋(1998)」「年上の女(1999)」等ローカリズム&セックスを重要なテーマとした作品の発表を精力的に続けた。その他には名匠コメンチーニの娘クリスティーナの「心のおもむくままに(1995)」リッキー・トニャッツィの「ウルトラ(1991)」マルコ・リージの「外の少年たち(1990)」「ゴムの壁(1991)」「生贄(1994)」フランチェスカ・アルキブージの「黄昏に瞳やさしく(1990)」「かぼちゃ大王(1993)」ナンニ・モレッティの「親愛なる日記(1994)」マイケル・ラドフォードの「イル・ポスティーノ(1995)」ガブリエーレ・サルヴァトレスの「エーゲ海の恋人(1991)」「ニルヴァーナ(1996)」が上げられる。しかし相対的に見ても1980年代に引き続きイタリア映画界の不調は続いており、1990年代後半は、特にその傾向が強い。1998年になってベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル(1998)」トルナトーレの「海の上のピアニスト(1998)」が世界中で大ヒットし、漸くイタリア映画の威信回復の兆しが見えて来たと言える。

この続きは次回に・・・【続・・・く】

04月03日(土)
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