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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File039】戦車、軍用機って来たら、やっぱ軍艦でしょ・・・邦画編
「陸奥」っていう戦艦は、連合艦隊の旗艦だった「長門」の同型艦ですが、昭和18年の6月8日の正午に、呉軍港柱島沖で謎の大爆発を起こし、多くの乗員共々海底に沈んでしまいます。その為、戦歴的には余り書く事はありませんが、やはり、その最後が原因不明なだけに戦史ファンの間では語り継がれる艦です。さてこの作品は、その陸奥爆沈の原因を想像を交えて脚色しストーリーが構成されています。で、登場するのが、戦時下に暗躍する連合国側のスパイ組織。同盟国ドイツの日本駐在海軍武官(ルードヴィッヒ大佐という怪しい軍人:軍服もSS風で変)をリーダーとして米軍諜報部門の指揮下に、日本人の戦意の象徴(?)として描かれている陸奥≠フ爆破を計画します。まあ欧州を舞台にした、この手の作品(スパイ・諜報員・特殊部隊による戦略目標の爆破)は多く存在しますが、邦画としては珍しい&迫゙ではないでしょうか。登場する陸奥≠ヘセットと模型ですが、セットは「トラトラトラ!」に登場する長門≠ルど手は混んでいません。日本人として暗躍するスパイも、主義主張で活動しているとか、ちゃんと訓練を受けたとかいう風ではなく、街のゴロツキのボスとその手下という感じで、あくまでも金≠ナ動いています。この連中があの手この手で陸奥爆破≠目論む訳ですが、中々上手くいきません。まあ安直に成功したら物語的に面白くないんですが・・・。最後は出撃前に積み込まれる●●に仕掛けられた時限爆薬の内の1個が爆発し・・・って訳です。爆発5分前くらいに爆薬の存在が判明するのですが、それ以前にスパイ団による爆破計画≠ェ判明しているのに、捜索も何も行われないのには、観ていてイライラさせられました。この陸奥爆破≠ノ至るストーリーに、副長(天知茂)と謎の美女(父が造船技師として陸奥建造に携わったが、軍機である設計図紛失の責任を取らされ処刑された)との逢瀬・・・、ミッドウェーで兄を失った水兵の苦悩、学生時代に学んだ社会主義思想の為赤=共産主義者≠フ疑いを掛けられ拘束される兵曹長、スパイに垂らしこまれる弾薬庫勤務の水兵・・・などがカラミ、物語を盛り上げます。この作品には、珍しく水兵集会所≠竍海軍巡邏隊(軍港などで活動する海軍のパトロールで軍規違反者等取り締まるが、重犯罪者は憲兵隊に引き渡します)≠ネどが登場します。特にラスト近くスパイ団との銃撃戦は憲兵隊≠ナはなく海軍巡邏隊≠ェやってくれます。実際の陸奥爆沈≠フ原因は未だ不明ですが、艦内で盗難の疑いを掛けられた水兵が、弾薬庫で自決したとか、新たに搭載した三式弾(対空用砲弾で爆発すると燃焼した火薬を周囲に撒き散らす)が化学変化を起こして爆発した、とかいろいろ言われてはいますが・・・まあ太平洋戦争の数ある謎≠フひとつですわ・・・。陸奥≠ニいう艦自体は、余り画面には登場しませんが、常に物語の背景や登場する人物に関係して存在する為、印象に深く残る作品ではあります。

戦争映画の中でも軍艦≠チていう兵器の存在が大きく比重を占めている作品について幾つか書いてみました。前にも書きましたが、邦画では登場人物の描写や葛藤が中心に描かれる事が多く、兵器については、あくまでも大道具≠ニしか描かれていない場合が多いです。「ハワイ・マレー沖海戦」「太平洋の嵐」「連合艦隊司令長官山本五十六」「軍神山本元帥と連合艦隊」「連合艦隊」「戦艦大和」(新旧)など、艦艇の多数登場する作品は多いですが、前述のように戦場の人間たちの描写が主な作品ばかりに思えて、何か物足りません。さて次回は、洋画に目を移して軍艦に愛着を感じてしまう″品たち・・・洋画編について書いてみたいと思いますです、ハイ【続く】

04月30日(火)
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