ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File118】十七萬接続達成記念・・・再録/よろず観戦日誌〜男たちの大和
【大和片道燃料説の検証】
大和の燃料満載量は6,300屯で、公式航続距離は7,200浬(16ノット/時)である。1浬=1.852kmだから、単純計算で公式航続距離は13,334kmとなるので
航続距離13,334km÷積載燃料6,300屯=2.12km/屯(燃料1屯当りの航行距離)
となる。燃料1屯当り約2km進める訳だ。さて呉〜沖縄間の距離は、これまた正確ではないが約900km(沖縄〜鹿児島間は660kmある)なので、往復距離は約1,800kmとなる。この数値を基に計算すると、沖縄水上特攻出撃当時、大和は約4,000屯の燃料を積載していたので
積載燃料4,000屯×2.12km/屯÷往復距離1,800km=4.7往復
単純に計算すれば、なんと呉〜沖縄間を4.7往復する事が可能な程の燃料を積んでいた事になるのだ!・・・って、これじゃ小学生の算数だな・・・
【男たちの大和・・・沖縄水上特攻片道燃料異聞・・・巻四】
安直な計算で4.7往復なんて答えが出たが、世の中そんなに甘くない!さて艦船は完成して海軍に引き渡される前に、最終的な試験航海を行い様々な検査が行われる・・・これを「公試運転」と言う。当然大和も行っていて、その時得られた性能緒元では
公試基準速力15.91ノット/時(17,432馬力)毎時重油消費率7.71屯
公試全速力27.30ノット/時(151,707馬力)毎時重油消費率57.5屯
である。基準速力では毎時7.71屯の重油を消費する事から、単純航続距離は
積載燃料6,300屯÷毎時重油消費率7.71屯×基準速力15.91ノット/時=13,000浬=24,076km
となる。しかし、これは最初から最後まで16ノットで走った場合で、実際はこんな事は有り得ない。停止状態から基準速力まで加速するのにも燃料を消費するし、碇泊中でも各部動力源としてボイラー等が動いている・・・という事から
公式航続距離13,334km÷単純航続距離24,076km=55.38%
公式な航続距離は、単純航続距離の半分強の数値が設定されている事が解る。この事を積載燃料4,000屯に当てはめると
出撃時積載燃料4,000屯÷毎時重油消費率7.71屯×基準速力15.91ノット/時×55.38%=4,571浬=8,465km
しかし計算は、まだ終りではない・・・大和の最高速力・・・公試全速力時では毎時重油消費率は57.5屯となっているので
全速時重油消費率57.5屯/27.30ノット÷基準速力時重油消費率7.71屯/15.91ノット=7.46
なんと全速で突っ走ると、経済的速力である基準速力航行時よりも7.5倍もの燃料を消費する。大和は出撃時、既に豊後水道を出た時点から米潜水艦に察知されていたので、太平洋へ出た時点で既に全速に近い高速で突っ走っていたはずだ。
出撃時積載燃料4,000屯÷全速時時重油消費率57.5屯×全速力27.30ノット/時×55.38%=1,051浬=1,948km
と言う事で、なんと推定航行距離は1往復強と言う計算結果になってしまった。ところが、これでもまだ終りではない。実際には往復路とも空襲や雷撃が予想され、偽装進路や之字運動を行うので航行距離は格段に増大する。また戦闘により燃料タンクが被弾し、燃料が流出する可能性もある。こうして考えると最終的に得られた航行距離1,948kmでも「余裕ある往復燃料」とは必ずしも言えない。敢えて言わせて貰えば「多少余裕のある片道燃料」と言う方が適切だった、と思えるのである【ここでの計算式は多分に誤っている可能性大なので、修正のご指摘をお待ちしております】
【男たちの大和・・・沖縄水上特攻片道燃料異聞・・・巻五】
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04月15日(土)
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