ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File054】Saving Navajo Codetalkers〜JHON WOO MEETS SPIELBERG【ネタバレ警報】
さあ、そう言う訳(?)で、色々と比較検討してみましたが、観戦武官の皆さん的には如何でしょうか・・・まだ「そんなの偶然だよ」とか「無理やり故事付けじゃん」と仰る方はいらっしゃいますか・・・SPRと言えば「真実の戦争映画が作りた〜い」と永年言い続けていた、かのスピルバーグ監督が「1941」や「シンドラーのリスト」などの製作の傍らでずっと温めて来た企画や演出法、表現技法を一気に放出して創り上げた作品で、戦争映画史上に残る将にエポックメイキング%I作品と言っても過言ではない作品です。反面ジョン・ウー監督と言えば「爆破・銃撃戦の帝王」「義理と友情と悲劇のデパート」と言われる(?)程の「アクション映画」分野の巨匠・・・「男たちの挽歌」「フェイス・オフ」「MI2」等の代表作を見れば言わずも知れた事です。WTは、そのジョン・ウー監督が作った戦争映画的アクション作品≠ナある、というのがATF的結論です。戦争映画が他の一般アクション映画と大きな異なる点・・・それは大小に関わらず戦争の悲劇や悲惨、非情、軍隊の非道徳・非人間性を描く事によって反戦・厭戦・平和へのメッセージを作品の背景に含んでいる事です。これらに関わる演出法は、反戦面の表現が過大すぎると内容が重たく、観客が身構えて観てしまう作品となり、芸術的には評価されても興行的に成功する可能性が低い・・・逆に反戦面の表現が過少すぎると、好戦的・戦争賛美・人命軽視などと評価されがちで、これまた興行的には難しくなります。この辺の事情は邦画では顕著に見られ、昨今の邦画戦争映画の衰退に大きく影響していると思われます。戦争映画分野には素人と言えるジョン・ウー監督が、今回のWTを製作する上でSPRを参考にしたという証拠はありません・・・「バンド・オブ・ブラザース」が今ひとつ戦争映画通の間で盛り上がらないのは、やはり「SPRを越えきれてない」とか「SPRの二番煎じ的作品じゃん」と思われているからではないでしょうか?確かに迫力ある戦闘シーンの連続ですが、やっぱSPRを始めて観た時の衝撃はありませんでした。近年公開された「ブラックホークダウン」や「ワンス・アンド・フォーエヴァー」(「エネミーライン」は未見)もまた然り。大量の火薬やCGを駆使して非常にリアルな戦闘シーンが描かれていましたが、やはりSPR以上の感動・衝撃は感じませんでした。一番のネック・・・そう兵士が撃たれて死ぬシーンが違うんですよ、SPRとは・・・そしてこのWTもそうです。如何にも大袈裟に撃たれて、吹っ飛んで死んで行く兵士たち・・・将にアクション映画での死に方なんですわ。そしてエンダーズとヤージーの極限下における男の友情・・・反戦ってイメージは余り感じられない、将にジョン・ウーノワール的作品。そんな訳でこのWTは「SPRのいいトコ取りした戦争映画的アクション映画」である・・・これが結論です。2時間モノにしては登場人物絡みのドラマ的演出部分が少な過ぎるのも・・・。コレなら、無駄と思われる部分を切り取って90分モノ(アクション娯楽映画としては最適な時間割り)としても充分通用しそうです。でもアクション映画としても、ナバホ暗号に関わる秘話やネイティブアメリカンの差別の歴史、エンダーズの過去やロマンス面の演出がもうちょっと欲しかったような気もしますが・・・。

【でもジョン・ウーテイストが好きなんです・・・コレが良いんですよ、お客さん】

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08月24日(土)
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