ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File050】記念連続ドラマ最終夜「プライベート・ライアンとノルマンディーの空」
ミラー戦闘団の兵士たちは急遽撤収の準備を始めた・・・アンダーソン中佐にライアン発見の報告をしようと無線機のスイッチに手を掛けたミラー大尉のもとへ、エディットに支えられたライアン二等兵が右脚を引き摺りながら近づいてきた。「大尉殿、お話が・・・」「なんだ、戦友に義理立てして帰らないなんて話は、もう聞きたくないぞ・・・」「いいえ、本当の理由はこの娘です・・・彼女を愛してます。僕はこの町に残ります・・・」「何んだって・・・?」ライアン二等兵の話を聞き、呆気に取られるミラー大尉。「そんな事、出来る訳ないじゃないか・・・脱走でもする気か・・・」と言っては見たものの、ライアン二等兵の顔は真剣そのもの・・・傍らでは心配そうなエディットの顔が・・・。「勘弁してくれよ・・・ライアン」一難去ってまた一難「お前、万が一残ったとして、お袋さんはどうするんだ・・・息子三人が戦死した上に、末息子は脱走兵か・・・えぇ?」その話を傍らで聞いていたライベンがボソッと一人事を言った「いっそ戦死してれば楽だったのに・・・」その一言を聞いたミラー大尉の頭にひとつの考えが閃いた・・・無線機のスイッチを入れアンダーソン中佐を呼び出す・・・「レッド・リバー2、こちらレッド・リバー6・・・アンダーソン中佐宛連絡・・・当該のジェームズ・フランシス・ライアン二等兵の戦死を確認せり・・・」傍らで聞いていた一同全員が呆気に取られた表情をした・・・無線の向こうでアンダーソン中佐が何か怒っていたが、構わず無線を切った・・・「ウェイド、ライアン二等兵の兵員名簿用の戦死報告書を・・・敵の88mm砲の直撃を喰らって跡形もなく・・・だ!」ウェイドがにこりと微笑むと大声で復唱した「了解。ウェイド衛生特技兵、ジェームズ・フランシス・ライアン二等兵の戦死を確認しました・・・」ライアン二等兵とエディットは嬉しそうに抱き合ってキスをした・・・エディットの父親・・・ピアフ町長が嬉しそうに「さあ、皆の衆、今日は目出度い日だ・・・わしに婿が出来た・・・今夜はパーティーだ!」101空挺隊、ミラー戦闘団の連中もヤレヤレって言いながらも嬉しそうだ・・・世知辛い戦争の中で、コレくらいの幸せがあってもいいじゃないか・・・そこへ特派員のギャロウェイがやって来て抱き合う幸せな二人の写真を撮った・・・。ミラー大尉は慌ててソレを制止した・・・「すまんなギャロウェイ、今回はスクープは無しだ・・・」ギャロウェイは胸ポケットから自分の身分証明証を取り出すとミラー大尉に渡して言った「せめてライアンの母親には真実≠伝えにゃいかんだろう?ええ、ミラー君・・・」身分証明証を見たミラー大尉は驚いた・・・陸軍情報部ギャロウェイ中佐・・・なんだ〜ッ!慌てて敬礼するミラー大尉。「今さら鯱鉾ばっても生姜無いだろ、大尉。俺の任務はライアンの消息・生死を確認して報告する事だ・・・実は、今回のライアンの消息の一件をネタにして、連合軍上層部の間で大規模な賭博行為が行われている・・・ライアンが生きて見つかるか死んでるかを賭けてるって事だ・・・。本国の一方的な命令決定に対する現地部隊の反発ってトコだが・・・結構な高官も関わってるらしい・・・まったくFUBERな任務さ・・・ライアンが戦死してたと知って、がっかりする連中が多いだろうがな!」嬉しそうに話すギャロウェイ中佐を含めて・・・若い恋人たちの周りにはさわやかな笑いの輪があった・・・。その輪の外で、ガフィ軍曹はタバコを大きく一服吹かすと、空を見上げた・・・晴れ渡ったノルマンディーの空・・・「公報チーム活動・・・まったく面白くねぇ、しかも儲からねぇボランティアだぜ・・・」と愚痴る横顔・・・は微かに微笑んでいた。

chap.21墓地(DVDにはありません・・・)

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07月22日(月)
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