ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File048】記念連続ドラマ第四夜「プライベート・ライアンとラメルの橋」前編
目の前を捕虜が次々に連行されて行く。「ユダヤ人。ユダヤ人・・・俺ユダヤ人、解るか・・・」メリッシュが認識票に貼り付けたダビデの星≠連行される捕虜の列に向け怒鳴っていた・・・戦闘後の処理も一段落した。ミラー大尉指揮の戦闘団は隊列を整えると、バンダービルド中佐等空挺隊員たちに別れを告げ、再びラメルを目指し出発した・・・。

chap.13大きな謎
その日の夕方、部隊は目的地ラメルを見渡せる対岸の丘の上にいた。手前には河・・・メルデル河・・・が流れ、一本の橋が掛かっている。村・・・町は岸辺の高台の上にあり、その東側の一段と高くなった場所には、その昔この辺りを治めていた領主の館・・・古い城館が聳えていた。ミラー大尉、ホーバス軍曹、ガフィ軍曹の三人が、双眼鏡でラメルの町の隅々まで観察している。町の中央には高い鐘楼を備えた教会、その周りには不規則な路地に沿って民家が連なる。町の最も外周にある民家の壁が城壁の様に連なり、それによって町全体が中世の城塞の雰囲気を醸しだしている・・・その時、彼方・・・北側から町の中央につながる一本の道を進んでくる一団が望見された・・・「なんてこった、ドイツ野郎ですぜ・・・まったくツイてねぇーぜ」双眼鏡を覗きながらガフィ軍曹が呟いた。先頭には型式不明の戦車が三両(けっこう厳つい)そして十台近くの装甲ハーフトラックやトラックが後続している・・・「遅かった・・・かッ」ミラー大尉が呟いた「えッ・・・何ですって中隊長?」ホーバス軍曹が驚き顔でミラー大尉を見つめた「武装親衛隊・・・ダス・ライヒの精鋭部隊だ」ミラー大尉が双眼鏡を覗いたまま言った。「何ですって大尉、知ってたんですかい・・・?」ガフィ軍曹が怒鳴る「ああ、でも戦車までいるとは知らなかったがな」「何てこった・・・」ホーバス軍曹が呟く。ガフィ軍曹が真っ赤な顔でミラー大尉を睨みつけた「何が、ちょっとした公報チーム活動だッ、えーッ?レーダー基地の戦闘じゃ特別サービスしてやったが、こんな話は聞いてないですぜ・・・まったく契約外だよ。俺たちゃこの話から下ろさせてもらいますぜ・・行くぞ」戦車兵たちが、自らの戦車へと戻ろうとした、その時・・・「待て・・・中隊長の命令に背くつもりか・・・戻れ」ホーバス軍曹が腰のホルスターからガバメントを引き抜くとガフィ軍曹の背中に突き付けた「こんな任務はごめんだネ!」立ち止まりながら・・・も振り向きもせずガフィ軍曹が応える「コレが最後の警告だ・・・」「コレもライアンのためか・・・エ〜ッ?」「五月蝿い、黙れ。その減らず口を吹っ飛ばしてヤル・・・」ホーバス軍曹とガフィ軍曹、将に一触即発状態・・・レンジャーたちと戦車兵たちもお互い銃を構え、狙いを定めている・・・(コレばっか)「中隊長、何とかして下さ・・・い」アパム伍長がオドオドと言った。今回はギャロウェイも成すすべもない「アパム、例のカバンを持って来てくれ・・・」アパム伍長が慌ててカバン・・・片目のドイツ軍大佐の持ち物だった・・・を持って来た。ミラー大尉は、カバンを受け取りいがみ合う連中の方に向き直ると、中身の書類・・・命令書を取り出し頭上に掲げ怒鳴った「ライアンは、俺にとってはどうでもいい、ただの名前に過ぎん・・・ガフィ軍曹、君等がこの任務から下りたいのなら、よかろう。好きにするさ・・・。確かに昨夜、アパムが尋問したドイツ軍将校の情報から、武装親衛隊があの町にやってくる事は知っていた。でも、なんで武装親衛隊が、ヒムラー直々の命令で、あんな辺鄙な田舎町までやって来るのか・・・大きな謎だ・・・ただ噂によると、親衛隊はヒムラーの命令で占領地の彼方此方から高価な美術品や調度品を掻き集めてるそうだ・・・ひょっとすると・・・」ミラー大尉がそこまで言った途端・・・ガフィ軍曹の表情が和らいだ・・・やっぱりそうじゃねーかと思ってたんだ!「解りました、大尉殿。不本意ながら、このガフィ軍曹、最後までお供しましょう・・・いいな野郎ども」戦車兵たちも頷いた・・・さあ物語・・・妄想は、いよいよ最終局面へと突入する・・・のであった。


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07月07日(日)
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