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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File039】戦車、軍用機って来たら、やっぱ軍艦でしょ・・・邦画編
主人公(演じるは高倉健=jは元戦艦大和に勤務していたが、上官との関係が上手くいかず、飛ばされた機関科士官。で最前線ラバウルに停泊する駆逐艦「黒雲」に転任してきます。実際の戦記など読んでも、軍規風紀ガチガチの戦艦や巡洋艦に比べ、駆逐艦や潜水艦の生活は、自由な雰囲気に溢れて描かれている場合が多いですが、この映画に登場する駆逐艦「黒雲」も例に違えず、ステテコ・下駄履きの艦長(田崎潤)先任(水雷?中山昭二)テッポウ(安部徹)機関長(花沢徳衛)以下一癖も二癖もある乗員ばかり(いざ実戦では一糸乱れぬ歴戦の猛者揃い)で、着任蒼々面喰らってしまいます。なんか似たような話があったなあ・・・と思っていたら、なんと原作者は石原裕次郎主演の「零戦黒雲一家」(1962日活)と同じ人物(菅沼洋)で、原題は「駆逐艦黒雲一家」なのでした。この作品でも「駆逐艦雪風」と同様、実際に海上自衛隊の自衛艦を使用しているので、雰囲気満点。さらに搭載兵器(主砲、魚雷、対空機銃、爆雷等)での戦闘シーンも結構描かれていて、兵器マニアの方々にもおすすめです。主人公は機関長付として、戦闘中は機関室にいるのですが、初戦闘でビビるシーンでは歴戦の機関兵曹から「こうやって●玉を握るんですよ」みたいに言われて士官の威厳を保ったりするシーンもあります。大抵の戦争映画で機関室がクローズアップされるのは、攻撃を受け、艦が沈む直前のパニックシーンが多いのですが、通常の戦闘行動中の機関室が描かれている珍しい作品ではあります。またインチ(馴染み)のS(エス=芸者/演じるは久保菜保子)の想いを振り切って出撃する主人公、最後の作戦(沖縄水上特攻がモデルか?)で上層部の作戦指導に遠慮なく意見を言い、作戦の直前に艦長の職から駆逐隊司令への異動を発令(建前では栄転)される艦長、呉のレス(士官専用の料亭)で出撃前、部下の下士官兵を引き連れ大宴会をやる主人公に、ある将官の副官が文句を言ってくるのですが、ゴット(女将)の計らいで事無きを得るとか、激しい攻撃の為に大損害を受け、もはや総員退艦というところで乗員一丸の復旧作業により沈没を免れながらも、司令部からの非情なる敵艦隊追撃命令が届いたり・・・。笑いながら遠ざかって行く「黒雲」の乗員たち・・・そしてエンディング・・・。最後は・・・観る者の判断に委ねられています。果たして「黒雲」の運命は・・・。私ATF的には、なんとか生き残りヨタヨタしながらも軍港に還ってくる「黒雲」の姿が目に浮かんで来ます・・・涙。まだ戦後15年。制作スタッフの中にも戦争の生き残りの方々が現役バリバリでいらっしゃった頃の作品です。

【太平洋戦争 謎の戦艦陸奥】

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04月30日(火)
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