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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File125】スペイン内戦勃発70周年・・・誰がために鐘は鳴るなり豆戦車C
人民戦線側の旧ソ連製T26戦車及びBT3型、BT5型快速戦車ですが、戦車戦ではその主砲によるアウトレンジからの射撃によって優位に立っていましたが、こちらも装甲の薄さは問題となっており、近距離ならば、ファシスト側が装備した独製37mm対戦車砲や対戦車ライフルでも前面装甲を撃ち抜かれる始末でした。
またこのスペイン内戦では、対戦車用簡易兵器として火炎瓶が使用され効果を上げました。戦車のみで敵陣に突撃したところ、火炎瓶攻撃によって返り討ちにあう事例が多々見られたそうです。戦車で敵陣を攻撃する際、砲兵や歩兵との協力・協調する戦術は、このスペイン内戦での戦訓とも言えます。数年後に行われたノモンハン事変には、スペイン内戦での火炎瓶の効果が伝わっていた様です。
1937〜1938年に行われたカタロニア戦線での戦闘では、早くも独製88mm高射砲が地上射撃及び対戦車戦闘に投入されています。スペイン戦争中の使用された88mm高射砲弾の内、その90%以上は地上目標及び敵戦車に対するものだったと言う資料もあります。
『誰がために鐘は鳴る』に登場するファシスト側戦車の内、鐘鳴戦車一号は独製T号戦車の様に思えます。また鐘鳴戦車三号・四号ですが、1937年にヘミングウェイ自身が製作に加わっていた、人民戦線側の支援を目的としたプロパガンダ・ドキュメンタリー映画『スペインの大地』の中のヴァレンシア・マドリッド防衛戦のシーンに、人民戦線側の仏製ルノー軽戦車(元々のスペイン軍装備車両)が映っている事から、ファシスト側でも使用されていてもおかしくありません。それでは鐘鳴戦車二号は・・・一体?火砲装備という事から、独製I号戦車及び伊製CV(L3)33・35戦車でない事は確かです。あの主砲が20mm機関砲ではないとも言い切れませんが・・・まぁ単純に考えれば独製V号戦車か伊製M11/39軽戦車って事でしょうか・・・ね。

数々の名作冒険小説で知られるスティーヴン・ハンター氏の初期著作『さらばカタロニア戦線』(扶桑社文庫)はスペイン内戦を舞台にした冒険・スパイ・サスペンス作品ですが、そのクライマックスシーンではファシスト部隊の進撃ルートにある橋梁爆破作戦が描かれています。何でも主人公が迫り来るファシスト側U号戦車に対して独製MG34機関銃を振りかざし立ち向かう場面があるそうです・・・これって?・・・興味のある方は是非ご一読下さい。そうそう名誉観戦武官のお一人DJANGO機関長殿のご教授によりタンケッテ=Tankette≠フ語源が解りました!Tankette=Tank+etteの-ette≠ニは英語の接尾語で、名詞の末「尾」に「接」続する事で、元の名詞の持つ意味を膨らませ、新たな意味を創り出すそうですが、この-ette≠ヘ、元の名詞に『小(型)さな〜』と言う意味を持たせるとの事・・・って事でTank+ette=戦車+小型=豆戦車≠ネのでした!DJANGO機関長殿、大変ご教授ありがとうございました。
最後に、第二次大戦後も生き続ける豆戦車の後裔≠スちを紹介させていただきます。これは旧ソ連製ASU-57空挺自走突撃砲で輸送機やヘリで輸送されパラシュート降下が可能。乗員は3名で57mm砲を装備した空挺部隊火力支援用車両ですが、現在では既に退役しております。そして独製ヴィーゼル型空挺戦闘車です。20mm機関砲や対戦車ミサイル搭載型が生産され、現在も様々なバリエーションの車輌が配備されている様です!【続く・・・はず】

07月25日(火)
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