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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File123】スペイン内戦勃発70周年・・・誰がために鐘は鳴るなり豆戦車A
そんなスペイン内戦を描いた映画作品の中でも、最も知られているのが何と言っても『誰がために鐘は鳴る(FOR WHOM THE BELL TOLLS/1943)』でしょう。我が観戦武官諸士の皆さんは、この作品を観た事がない・・・なんて方は、まさかいないでしょう?万が一未観戦という方がいたら、今すぐDVDを購入して観戦する事をお薦めしますよ・・・今じゃ著作権が切れて版権フリーとなったパブリック・ドメイン作品として、ワンコイン500円程度でDVDが購入出来ますからね!さて『誰がために鐘は鳴る(FOR WHOM THE BELL TOLLS/1943)』ですが、スペイン内戦を描いた戦争映画と言うだけでなく映画史上に残る名作でもあります。自らスペイン内戦に義勇兵として参加した文豪アーネスト・ヘミングウェイが1940年に発表し大ベストセラーとなった同名小説を、マルクス兄弟の喜劇シリーズや『チップス先生さようなら(1939)』で知られるサム・ウッド監督がゲーリー・クーパーとイングリッド・バーグマン主演で映画化。ロマンスとアクションが見事に融合した上映時間2時間半以上にも及ぶ超大作であります。内容については今更ここで多くを伸べる必要はありませんね。まぁ字数に余裕もないので・・・汗。

1937年内戦の最中のスペイン。アメリカの大学でスペイン語を教えていたロバート・ジョーダンは、正義と自由の信条の為、自ら義勇兵に身を投じ叛乱軍と戦っていた。敵の重要な輸送路である山間の峡谷に架かる鉄橋の爆破を命じられたジョーダンは、現地の人民戦線側のゲリラ部隊に協力で鉄橋を爆破しようとする。ゲリラの頭目パブロはファシストに追われて怖気づいていたが、その妻ピラールは勇敢で部下と共に協力を約束する。そんな中、ジョーダンは両親を殺されてゲリラに加わった娘マリアと恋に落ちる・・・。別のゲリラが敵機に発見され全滅する中、マリアは両親が殺され自分も犯された過去をロバートに話し、二人は固く結ばれた。次の日、計画通り鉄橋を爆破して脱出を試みるが、負傷し逃げ切れない事を悟ったロバートは、別れる事を拒むマリアを説得しピラールに託しすと、追って来たファシスト部隊に対してルイス機銃の銃口を向けるのだった・・・

■秘話@
当時ヘミングウェイの親友であったゲーリー・クーパーは、パラマウント社のプロデューサー兼監督のセシル・B・デミルに、『誰がために鐘は鳴る』映画化の話を持ち込みました。パラマウント社は、当時としては最高額の15万ドルを払って映画化権を獲得。ヘミングウェイは主役として、彼の小説の最初の映画化作品『戦場よさらば』でも主演を務めたクーパーを指名し、クーパーも大いに乗り気だったそうですが、実はクーパーはサミュエル・ゴールドウィン(SG)社と専属契約を結んでいた為、簡単には出演は出来ませんでした。しかしクーパーの主演を望む声が昂まった為に、パラマウント社は自社のドル箱コメディアンだったボブ・ホープと人気脚本家コンビのビリー・ワイルダー&チャールズ・ブラケットをSG社に貸し出す事を条件に、クーパーの出演許可を取り付けます。更に当時SG社においてクーパー主演で企画中だった『打撃王(1942)』の監督が決定していない事を知った監督のサム・ウッドが『打撃王』の監督も引き受け、結果的にクーパー主演、ウッド監督で二本の映画が並行して撮影されました。
■秘話A
ヘミングウェイは、共演のマリア役に『別離(1939)』での演技が評価されていたイングリッド・バーグマンを熱望し、彼女もこの役に乗り気だったのですが、またしても当時バーグマンは、独立系映画プロデューサーだったD・O・セルズニックと専属契約を結んでおり、なんとセルズニックはバーグマンの出演許諾料として15万ドルを要求して来ました。既にクーパーの出演交渉時に一悶着経験していたパラマウント社は、これ以上巨額な出演許諾料を払うつもりは無く、監督もバーグマンの起用を諦め、他の女優候補の中からバレリーナ出身のヴェラ・ゾリーナを抜擢しました。
■秘話B

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07月18日(火)
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