ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File107】マカロニ戦線異状アリ・・・珍説イタリア戦争映画史《総括》
実は、我が観戦記で今年一月から書き始めた一連の『マカロニ戦線異状アリ・・・珍説イタリア戦争映画史』というテーマの本題は、この『イタリア製戦争映画≠マカロニ・コンバット』に他ならなかった。「炎の戦線エル・アラメイン」によって、久方ぶりに映画ファンにも注目されたイタリア製戦争映画・・・しかし大半の見解では悲しいかなイタリア製戦争映画=マカロニ・コンバット≠ニ言う公式が罷り通っている・・・この考え方は、残念ながら一部戦争映画ファンの間にも蔓延しているのである。しかし無理もない事かもしれない。今までは戦争映画全体ですら、きちんと系統だって分類されている訳でもなく、それぞれの映画評論家が思い思い自著で勝手に分類している程度・・・況してやその中のイタリア製戦争映画を更に分類しようなどと言う物好きはいるはずもない。戦争映画について書かれた本自体も少ないが、それ以上に『マカロニ・コンバット』について書かれた本は少ない。私が知る限りでは、カルトな月刊映画雑誌「映画秘宝」で知られる洋泉社から出版されている『マカロニ・アクション大全/剣と拳銃の鎮魂歌(二階堂卓也 箸/1999年)』の中で、一章として取り上げられているくらいだが、一ジャンルとして取り上げられているだけで、詳しく分類されている訳でもなく、況してや全作品をリストアップしている訳でもなく、研究文献としては甚だ物足りない。仕方無い・・・物足りないのであれば、自分で調べるしかないのか・・・戦争映画好きの中には『マカロニ・コンバット』のファンは多く、中には私なども足元にも及ばない大家と呼ばれる方々も数多く存在している。そんな皆さんを差し置いて、私などが出娑婆った事を書くのも、誠におこがましいのであるが、これも戦争映画、引いては『マカロニ・コンバット』を愛するが故の暴挙として敢えてお許しをいただき、またご批判、ご意見、反論は甘んじて受けるつもりである・・・。
【マカロニ・コンバットの定義】
分類するにはキチンとした定義付けが必要である。そこで私が知り得る限りの智識と資料を基にして、取り合えず以下の様に定義付けた。「イタリア国内の映画会社が製作または資本参加(合作)している」であるとか「監督や脚本・撮影・音楽等の主要スタッフがイタリア人」等と言う定義は当たり前なので、この際は省く。
マカロニ・コンバットの定義
@第二次大戦のヨーロッパ戦線或いは北アフリカ戦線が舞台。
A戦局を左右する様な重大な特殊作戦を遂行する特別編成攻撃隊或いは偶然の成り行きで巻き込まれる小部隊の兵士が主人公。
B戦線や作戦の設定、軍装や兵装の考証は二の次のアクション作品。
Cマカロニ・ウェスタンでもお馴染みの監督、俳優により製作されており、紅一点の金髪おねぇ〜ちゃんが登場。
D他作品のフィルムやストーリー設定の使いまわし。
E日本公開時の邦題の名付け方がいい加減。
私が所有する文献、及びネット上より発見する事が出来た資料を基にして、1945年以降に公開されたイタリア製戦争映画のリストは、前の観戦記に書いた通りである。あくまでも限られた資料を基にしているので完全ではない(一応私自身が観戦済みの作品及び資料等で内容が判明している作品に限定)。日本国内で公開及び放映、またソフトが発売されていない作品についてはお手上げ状態なので、全く不完全な資料であるがお許しいただこう。さて前述の定義@を基にして、第二次大戦を舞台とした作品を抽出すると97作品となった。その中から、更に定義ABを当て嵌めて消去して行くと、残った作品は以下の30作品となる。
マカロニ・コンバット認定作品
戦闘(1962製作/1964公開)
奇襲戦隊(1967製作/1967公開)
北アフリカ特攻作戦(1967公開)
敵中降下作戦(1968公開)
油田基地大爆破(1968公開)
大爆破/特殊命令!ナチに潜行せよ(1968公開)
アルデンヌの戦い(1967製作/1968公開)
ゼロ・奪還!最高軍事機密/壮絶!潜行決死隊(1968公開)
地獄のノルマンディ(1968公開)
Dデイ特攻指令・V2基地を爆破せよ!!/死の戦線ノルマンディー(1968公開)
戦場のガンマン(1968製作/1969公開)
無頼漢戦隊/コマンド44・ツメルコフ空港破壊指令/特攻コマンド大戦略(1968製作/1969公開)
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11月07日(日)
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