ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File089】カチンの$Xのエニ′Fさん・・・【ネタバレ警報/中編】
その天文学的な組み合わせによって解読不可能/難攻不落の暗号≠ニ呼ばれたエニグマ暗号ですが、結局は解読されてしまいます。その発端となったのが、ポーランドでした。御存知の通りポーランドは、常に周辺諸大国の脅威に晒され、特にソ連軍や独軍の動向に非常に敏感で、それらの暗号解読に積極的に取り組んでいました。軍情報部内に、他国に先駆け暗号解読専門部署を設置、初期にはソ連軍や独軍の暗号の殆んどを解読に成功していました。しかし1926年独軍がエニグマ暗号を導入すると事態は一変・・・独軍暗号が解読不能に陥ります。ポーランドは暗号解読担当に著名な数学者を採用、エニグマ暗号の解読に挑みます。幾度もの試行錯誤の末、暗号の使用方法に、ある種の規則性が発見されました。それは暗号文章の最初の何文字かを必ず二回繰り返して送信される、という点です。それは受信時の人為的ミスを避ける為の措置でした・・・が、規則性は暗号にとって致命的な欠点・・・この規則性を突破口として、ポーランド軍暗号解読班はエニグマ暗号の解読に成功します。さらに暗号解読の手順を機械的に電気信号化し、暗号解読用の初歩的な電子計算機(「ボンブ」と呼ばれる初期のコンピューター)を製作します。この解読機は17576通りにも上るスクランブラー部分の組み合わせを、総当り式チェックで調べる事が出来ました。しかし1938年に独軍がエニグマ暗号機の性能を向上させた為、当時のボンブ≠フ機能では解読が不可能になり、結局独軍の侵攻を防ぐ事は出来ず、これらエニグマ暗号解読機は、機密保持の為ポーランド軍によって全てが破壊されました。しかし暗号解読に必要な数式や理論、ボンブ$サ作・運用の技術は、英仏両国へと受け継がれます。実は仏軍情報部は1931年に独軍内部の内通者にから、エニグマ暗号についての資料やコードブックの入手に成功していました。これによって仏軍情報部は極めて正確なエニグマ暗号機のレプリカを製作していたのですが、逆にその組み合わせ設定の余りな複雑さに圧倒され、解読を断念・・・した、と言う驚きな経緯がありました・・・この辺の事情は当時の仏政府や軍部の、独軍やナチス政権への認識の甘さに通じていたのでしょう。ポーランド侵攻直後、事の重大さに慌てた仏軍情報部は、ポーランド軍の暗号解読スタッフたちを独軍包囲下より救出・・・仏国内へと避難させ、再びエニグマ暗号の解読に従事させます。しかしながら依然として仏政府や軍部は、自らの軍備やマジノ線要塞の防御力を過信したままで、1940年ベルギーはアルデンヌの森林地帯を突破した独装甲部隊の迂回戦術によりマジノ線が無力化され、その後は御存知の通りポーランドと同じ運命を辿る事となります。しかしエニグマ暗号解読の為の資料や人材は、フランス降伏以前に英国へと移送されており、その後は英国においてエニグマ暗号の解読が続けられる事となります。
【エニグマ暗号を解読せよ・・・A英国編】
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06月04日(水)
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