ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File085】おんな≠ヘ乗せ・・・ない潜水艦【ネタバレ警報:前編】
古来船乗りの世界は男性の独占社会でありました。乗客として女性が乗船する事はありましたが、船員として船の運航に関わる様になるのは、つい最近になってからの事です。そんな船乗りと船の関係は、人と人との関係よりもずっと密接と言えました。また船乗り達は、船にも生命があり、船霊が宿っていると信じていました。そして多くの船乗りたちは、自らの乗船を女性≠ノ見立て深い愛着の情を示していました(欧州の船乗り達は、船を彼女=SHE(英)≠ニ呼ぶが、古来日本では逆に船を男性視しており、船名に「○○丸」と丸≠ニいう男性名をつけるのは、その名残り)・・・西洋海軍の慣習や伝統を記した書物には、船を女性視する理由として、こんな事が書かれています・・・@彼女(船)を巡って男達(船乗り)が大騒ぎし、また男達(船乗り)を常に引き付けるA彼女(船)にはウエスト(中部甲板)があってコルセット(静索)を着けているB常に紅や白粉(ペイント)で肌(船体)に塗って見栄えをよくしているC財産を破産に導くのは、彼女(船)を入手(建造)する経費ではなく、彼女(船)に貢ぐ(運用)経費であるD時に満身を美しく飾り立てる(満艦飾)E彼女(船)を正しく扱うには経験が必要であるF下半身(船腹)は隠している(水中)が、上半身(船体上部)は常に顕にしている、そして帰宅(入港)すると、即ボーイ(BOY=男性自身=港の繋留浮標)のところにすっ飛んで行く・・・と、こんな訳で船=女性≠ナあり、その船の運航に女性が携わると船が嫉妬して災いを招く≠ニ、船乗り達の間では実しやかに考えられていた訳です・・・!

【・・・海軍が男≠つくる・・・】
・・・ってのは、戦時中の徴兵ポスターのキャッチコピーなんですが・・・。記憶に新しいイラク戦争において、合衆国軍隊における女性兵士の従軍比率は確か二割に近かったと思います。しかし第一線の戦闘部隊での従軍比率はどうなんでしょう・・・多くは後方支援部隊に配属されているのではないでしょうか?第二次大戦以降、女性が戦闘に参加する事例が多く見られるようになりますが、レジスタンスやパルチザンなど非正規戦闘部隊や旧ソ連軍を除けば、多くの場合後方の兵站や司令部、医療衛生部門での勤務が主体でありました。さて軍隊において、集団での行動だけでなく単独での戦闘行動も要求される陸軍の歩兵とは異なり、海軍の水兵と言うのは、基本的に艦船の航行・戦闘に伴う各種の技能や機器・兵器の操作技術を取得した特技兵であり、個人での行動(戦闘)は余り有り得ません。すべて集団=チームでの行動がメインとなる訳です。中でも潜水艦の乗員は、たった一人の小さなミスが即大事故に繋がる可能性が非常に大きく、潜水艦映画の中で描かれた訓練シーンでも、徹底的にチームワークを鍛えられる場面が多いです。その水兵=男≠フチームワークを壊しかねないのが、ここで言うところの女性≠フ存在な訳ですよ!一端出撃すれば長期間補給も無く、常に精神的に緊張を強いられる閉塞社会。戦闘行動中を除けば、当直勤務を遣り繰りして少ない寝台を共用する下士官兵達。艦内で個室を持てるのは艦長のみ・・・士官ですら数人で個室を共用する、全くプライバシーなど存在しない環境の中で、男女が平穏に共存できるのか・・・これは難しい問題です。軍律第一の階級社会の中にあっても、男女の恋愛感情や性的欲望をコントロールする事は不可能・・・に近いと言えます。現用海軍の中で女性が潜水艦に乗務しているのはスウェーデンとノルウェイ、そしてロシア海軍くらいだそうです。スウェーデン海軍とノルウェイ海軍は沿岸での行動が主で一作戦行動が一ヶ月未満、そしてロシア海軍の戦略原子力潜水艦は、ご存知の通り巨大な艦体の為、女性乗員の区画が確保されているとか・・・。

【・・・おんなぁは♪のせなぁい♪せんすいかぁ〜ん♪♪・・・】

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04月30日(水)
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