ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File059】正義≠ニ脱走≠フためでなく【ネタバレ警報】
旧プロセイン貴族出身の様に思える独収容所長。第一次大戦からのベテラン職業軍人。息子をロシア戦線で亡くしながら、自分が後方の捕虜収容所長の職務に甘んじている事に、何らかの負い目があるのではないでしょうか・・・。実は若りし折に米国へ留学しており、その時の留学先がイェール大学≠サうハート中尉の先輩なのでした。先輩としてハート中尉をいろいろと援助しますが・・・戦死した息子の姿と重ねていたのかも。でも途中まで冷徹な収容所長として描かれております。部下と捕虜の裏切り者が通じているのを黙認していたようですが、潔しとは思っていなかったのでしょう。ラストシーンでは途端に冷徹な収容所長に逆戻りしますが、これは可愛がった子犬(ハート中尉)に裏切られたと思い込んだためか・・・。脱走・工場爆破事件により、大佐自身の監督責任の追求は免れないでしょう・・・マクナマラ大佐を射殺したことも・・・でも射殺によってハート中尉他の捕虜の責任をマクナマラ大佐一人に取らせたのは、ビッサー大佐最後の良心でしょうか・・・。
【スコット少尉】テレンス・ハワード/将来が期待されるアフリカ系俳優
第一次大戦に従軍した父親を見習い差別≠セらけの生活からの脱却を夢見て軍に志願したが、軍人として父親としてアフリカ系としての誇り≠持ち、軍務に忠実に励み、アフリカ系パイロットによる初の護衛戦闘機部隊レッドテールエンジェルス≠ナ9機撃墜のエースになったにも関わらず、軍隊内でも差別≠ゥらは逃れる事が出来ませんでした。スケープゴートとして本人の意思とは関係なくマクナマラ大佐の脱走計画に荷担することになります。判決前夜、独房を訪れたマクナマラ大佐が残していった新約聖書≠れは・・・大儀の前に死んでくれ・・・という大佐の心のメッセージだったのでしょうか・・・脱走計画を知らされた後、ハート中尉にいっしょに脱走するよう言われますが、潔く大儀に殉じようとします。本人も言ってる通り、ドイツの田舎道をアフリカ系の彼が歩ける訳ないもんなぁ。「ウインドトーカーズ」のナバホ暗号通信兵ヤージーと同じく、息子に対し戦場における誇り≠語り継ぐ事でしょう・・・。
【ハート中尉の戦い・・・説】
主人公が極限の戦場で、孤立無援の戦いを経て成長していく様を描いた作品・・・という観点で見てみると・・・
ハート中尉の父親は上院議員で、そのコネを駆使して、司令部付き将校という地位に就いています。彼の父も、祖父の恩恵によって第一次大戦では本部付きの将校だったようです。この物語の舞台は独軍による最後の大反攻作戦クリストローゼ″戦が行われた1944年12月後半。ドイツ降伏の終戦まで僅か5ケ月程前のことです。独軍の反攻が無ければ、ハート中尉は一発の弾丸を撃つ事なく、部下に突撃を命令する事もなく、ただ司令部要員として安穏と過ごしていた事でしょう。しかし、独軍の反攻作戦に巻き込まれて捕虜となったハート中尉は、捕虜収容所の中で発生したアフリカ系将校による白人下士官の殺人事件を審議する軍法会議≠ニいう戦場≠ナ一人で戦う事になります。今まで父親の庇護の中で生きてきたハート中尉が、初めて誰の庇護もなく(まあビッサー大佐の援助は大目に見て・・・)孤立無援の戦いの渦中に放り込まれながらも、一人の男として成長していく物語・・・「ハート中尉の戦争」なんて考えられないでしょうか・・・。
※よくよく考えてみると「心=Heart」だよな〜ッ。って事は原題「Hart=ハート」って事は、やっぱ「Hart's War=ハートの戦争」じゃんか〜ッ。どっこのサイトも「心の戦い」って勘違いしてるって事か・・・!
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09月30日(月)
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