ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File048】記念連続ドラマ第四夜「プライベート・ライアンとラメルの橋」前編
その頃、ミラー大尉とライベン、ジャクソン、メリッシュ、アパムそして空挺からの選抜隊員、合計40名からなる別働隊が麓に沿って流れる小川の中をコッソリと進んでいた・・・ドイツ軍守備隊の注意が戦闘団主力へ向いている間に、背後からレーダー基地を攻撃する・・・これがミラー大尉の立案した作戦だ・・・。戦闘団主力がドイツ軍の注意を引きつけられるのも、せいぜい30分。その間にレーダー基地の中央部へ突入しなければならない。慎重を期す作戦だが時間がない。別働隊は、小川の流れに脚を取られながらも、一歩一歩着実にレーダー基地の背後へと近づいて行く。案の定、ドイツ軍守備隊主力は、囮部隊の派手な動きに気を取られ、背面には僅かな見張りしか置いていなかった・・・ミラー大尉は振り向くと片手でサインを送る・・・歩哨2名、すぐ上の橋の袂、ゆっくり歩いている・・・ライベンとジャクソンが頷くと銃を置き、銃剣を口に咥え、ゆっくりと川から這い上がり、歩哨の背後へと忍び寄って行く・・・一声も発せず2名のドイツ軍歩哨は倒された・・・ライベンとジャクソンが死体をすばやく物陰に隠す・・・ピーッ・・・ライベンが口笛を吹いた・・・その口笛を合図に別働隊全員が小川から這い上がり、次々にレーダー基地のある丘の林の中へと消えて行く。最後に残ったミラー大尉は、もたつくアパム伍長の腕を掴み物陰へと走りこんだ・・・流石にレンジャーと空挺隊員だ・・・この手の作戦には慣れている・・・逆に守備隊側はドイツ空軍所属の地上勤務部隊の寄せ集め部隊らしい・・・正面からの攻撃にはなんとか対処できるが、背後から忍び寄る敵への対処は弱い・・・ひとつずつドイツ軍側防御陣地が潰されていく。
14:30それまで敵陣正面で大袈裟に動き廻っていた戦車3両が進路をレーダー基地へと向けた。同時に背後に控えたM3ハーフ搭載の105mm砲が砲撃を開始・・・でも実弾ではない・・・発煙弾だ・・・途端にドイツ軍陣地正面に煙幕が立ち上る・・ガフィ軍曹たちの戦車は巧みに煙幕に紛れながら敵陣への接近を図る「たのんますぜ、大尉・・・もっと右だ、もっと右、ヨーイ、射ーッ」ズドーン!!・・・戦車砲が吼える。「もっと発煙弾を撃て・・・」ホーバス軍曹が叫ぶ。戦車3両は、まっすぐレーダー基地へと突き進んだ。煙幕でこっちの身も隠せるが、逆に相手も見えない・・・射撃は全て盲射・・・。敵陣との距離は序々に詰まる・・・敵陣は目前だ・・・しかし心配の種・・・88mm砲は・・・大丈夫か・・・その時一塵の風が吹き、煙幕が吹き払われた「うわぁ〜ッ・・・」ガフィ軍曹が叫び声を上げた・・・なんと、彼の戦車の真ん前に88mm砲の砲身が不気味に突き出ていた「だめだ、やられちまう・・・」ガフィ軍曹は目を瞑った・・・暫しの沈黙・・・「まだ生きてる・・・のか」ゆっくりと開けたガフィ軍曹の目に、88mm砲の前で得意げにポーズを取り、ギャロウェイに写真を撮らせているメリッシュの姿があった・・・アホ。大した損害も無く・・・と言っても別働隊戦死5名負傷7名、囮本隊負傷5名が出ていた・・・レーダー基地は奪取された・・・ドイツ兵たちは、いきなり背後から現れた米兵に驚き、すべもなく次々に銃を捨てた・・・少なからず抵抗はあったが・・・あのアパム伍長でさえ、抵抗するドイツ兵を前に、ドイツ語で降伏するよう怒鳴り続けていたのである・・・へぇ〜アパムにしちゃ大したもんだぜ・・・ライベンが呟いた。
15:30僅か一時間半でドイツ軍レーダー基地を完全占領・・・ミラー大尉指揮の別働隊の的確な奇襲により、新型ザルツブルグレーダー一式を破壊される間も無く捕獲できた。ミラー大尉は、レーダー基地中央のトーチカ前に一人腰を降ろしていた。どっと疲れが出て、何も考えたくなかったのだ・・・そしていつもの発作・・・右手の震えだ。暫くしてバンダービルド中佐がM3ハーフに乗ってやって来た・・・「よくやった、ミラー大尉。ありがとう・・・」バンダービルド中佐がごつい顔に満身の笑みを湛え、右手を差し出した。ミラー大尉は一瞬躊躇ったが、ゆっくりと右手を差し出した・・・その手をバンダービルド中佐が両手でシッカリ掴み返した・・・!(でも今回は薔薇の花は無し・・・)

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07月07日(日)
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