ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File041】あゝ邦画戦争映画は燃えているか・・・突入編【ネタバレ警報】
極寒の戦場、急遽派遣された警視庁機動隊も耐寒装備が間に合わず苦労します。現場での食事も弁当が凍って食べられない・・・「二○三高地」でも、折角運ばれてきた握り飯が凍って喰えないシーンがあった(で、現場で最も重宝された食料がカップ○ードル≠セった訳で、協力日○製粉クレジット)し、佐藤允氏演じるヤクザ上がりの兵隊が軍服の上からドテラみたいなの着てたし〜。靴紐が凍って解けないので、靴を脱ぐ時にお湯をかけるシーン。「八甲田山」(天は我れを見放した・・・)を思い出した。戦後まだ27年。警察内部にも軍隊経験者が一杯いて、旧軍の伝統が残ってたりします。そのひとつが指揮官先頭≠フ精神。部下に先立って敵陣に突っ込む、後方の安全なところから指揮するのではなく、第一線で部下と一緒に戦う、部下との信頼感、この上官のためなら命を賭けられる・・・そんな伝統の生きていた時代。殉職した第二機動隊長、特車中隊長、共に第一線で指揮時に狙撃され殉職。本部より通達「各現場指揮官はヘルメット・指揮帽から指揮官表示を取り外せ」ベトナムでは前線指揮官が真っ先に狙撃され「大尉の墓場」なんて言われてたそうです。そう言えば「ならず者部隊」で、日本軍の狙撃兵の目標にならない為、襟の階級章を外すシーンがあったっけ・・・。最後に嫌われ者の隊長が、襟章を付けた途端に狙撃されたよな〜。その他にも長野県警と警視庁の無線の周波数が違って使えなかったり、ジェラルミンの楯の防弾性能が低く、犯人に近づく程貫通されて、二枚を針金で繋ぎ合わせたり、放水用の貯水が凍って使用できなくなったり、鉄球の操作で協力してもらう建設会社社長に長野県警・警視庁どちらの制服を着せるかでもめたり(一応臨時警察官に任命してるらしい)・・・いっぱい非常時下での組織や人間関係のエゴが描かれています。
C見えない敵を描け・・・演出技法的考察
私ATFは前から「戦争映画は人と人との殺し合いを描いている映画だから、味方だけでなく敵が描けなければダメだ」と言っていますが、姿を現さない(直接敵を描かない)事によって、敵への恐怖心や敵愾心を演出する手法は、一般的に良く用いられる演出技法です。代表的なものにスピルバーグ監督の「激突」(謎のトラックに追い掛け回される作品で最後までトラックの運転手の姿は出てこない)があります。戦争映画でも見えない敵が登場?する作品が多い(ジャングルの中に潜む日本兵やベトコン、狙撃兵、未知の潜水艦や飛行物体等々)ですな。この作品でも、立て篭もり犯の姿は最後(検挙される)まで登場しません。犯人を象徴するのは、銃眼から覗くライフルの銃身だけです。また中々確認できない人質の安否・・・実質的に逃走手段の無い追い詰められた状態の犯人側にとって、人命尊重を第一とする警察側に対する最終秘密兵器であり切り札である訳です。この人質も最後まで姿を見せませんが、戦争映画でよく観られる敵が持つ秘密兵器や核兵器、捕虜のような存在感(抑止力効果)をイメージさせます。
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05月13日(月)
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