ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File118】十七萬接続達成記念・・・再録/よろず観戦日誌〜男たちの大和
私は「戦艦大和」と言う言葉を耳にする度に思う事がある。それは大和最後の戦い・・・沖縄水上特攻(天号作戦)時における大和に搭載された片道燃料論争である。以前は、元学徒士官であった吉田満氏の著作を始め多くの著作において、大和以下第一遊撃部隊が沖縄に出撃した時点で、片道分の燃料しか搭載していなかった、と主張していた。しかし近年の研究では、大和始め第一遊撃部隊の全艦に、沖縄までの往復可能な燃料が搭載されていた・・・と言う説が一般的になっている。この説の根拠になっているのが、当時連合艦隊の補給担当参謀であった小林儀作元大佐の手記(「沖縄特攻艦隊の燃料/日本海軍燃料史(下巻988〜989頁)所載)によるところが大きい。これによれば、聯合艦隊司令部首脳陣は、この作戦に関して軍令部と種々協議を重ねたが、軍令部はこの作戦に関し極めて消極的で「現在日本国内の燃料貯蔵量は極端に逼迫しており、物資輸送船艇への護衛艦の燃料も十分とは云い難い状況である。従って燃料は極端に節約しなければばらない。この作戦の様な敵の制空圏下での艦隊行動は極めて危険である。例え沖縄に突入出来たとしても、その生還は期し難い。あくまでこの作戦を強行するのなら、燃料を片道分しか渡せない」との強硬意見だった。しかし聯合艦隊司令部としては「現状で港内に避泊したままで徒に敵機の攻撃を受けるよりも、日本海軍の名誉にかけて沖縄に突入して、その最後を飾るのが武人の本懐である」「本作戦の成功の算は極めて少ない。併しながら今海軍部内全般に亘って航空部隊はじめ全軍特攻として死闘を続けているのに、水上部隊のみ生き残って拱手傍観して居る。皇国存亡のとき、水上特攻をしないで良いのか」等の意見が強かった。結局、聯合艦隊司令部は、沖縄水上特攻作戦の決行を決定し、昭和20年3月20日に大海令作戦命令が発令された。しかし「例え生還の算無しとは言え、燃料を片道分しか渡さないと言うのは武人の情に非ず」との意見から、作戦命令を第二艦隊司令長官伊藤整一中将に伝達する為に、聯合艦隊参謀長草鹿竜之介中将が大和へ出向く折に補給担当参謀小林大佐が同行し、呉鎮守府に赴き機関参謀今井中佐と面談し沖縄特攻作戦の主旨を説明。帳簿外の備蓄重油(推定50,000屯)を第一遊撃部隊に補給する様に依頼した。その後、呉鎮先任参謀井上大佐、参謀副長小山大佐、参謀長橋本少将に報告し承認を得、第一遊撃部隊全艦への燃料満載補給が実施される事となった・・・。

【男たちの大和・・・沖縄水上特攻片道燃料異聞・・・巻二】

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04月15日(土)
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