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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File089】カチンの$Xのエニ′Fさん・・・【ネタバレ警報/中編】
【エニグマ(enigma)暗号機】
第一次大戦終結後の1919年、オランダ人学者のユーゴ・コッホが特許を取得した「秘密文を解く鍵」という理論を基に、独人発明家アルツール・シェルヴィウスが発明した画期的な暗号機・・・それがエニグマ暗号機です。このエニグマ暗号機は、当初軍用ではなく民間商業用暗号機として売り出されました。が、その複雑過ぎる機構に製作コストが嵩み販売価格が高騰、民間では殆んど売れませんでした。しかしその優秀さに目を付けた独軍が1926年に採用、軍事用としての改良が加えられ、1933年には全実働部隊に配備されます。この暗号機は、電気信号を使用した変換回路機能によって自動的に暗号を作成する画期的な暗号機で文字を入力するキーボード部分、スクランブラー≠ニ呼ばれる変換端子盤(一文字入力すると、それぞれの変換端子盤が設定による異なる目盛り数分だけ回転、再度同じ文字を打ち込んでも違う文字に変換される・・・当初、変換端子盤は3枚だったが最終的には5枚の変換端子盤より3枚を選ぶ方式となる)部分プラグボード≠ニ呼ばれる単文字変換端子(一文字ずつ変換する)部分、そして暗号化された文字を表示するランプボード部分から成り立っています。打ち込まれた文字は、その設定された変換パターンによってスクランブラー≠ナ変換され、さらにプラグボード≠ナ文字に翻訳され、それに対応するランプボード≠フ文字ランプが光る(これを書き取って文章に直す)・・・と言う仕組みです。そしてこのエニグマ暗号機の凄いのはランプボードの接続方法とスクランブラー≠フ組み合わせを変える事によって、天文学的な暗号変換パターンが設定出来る・・・と言う点でした。さらに同時代の他国では、暗号の作成機と解読機が別々だったのに対し、リフレクター≠ニ呼ばれる装置で、電気信号のプラマイを切り替えてやれば、一台で暗号作成も解読も出来るという、将に一石二鳥な超・超・超・超いい感じ・・・の優れモノ暗号機だったのです!反面プラグボード≠フ接続方法とスクランブラー≠フ組み合わせ方法をたった一ケ所間違っただけで解読出来なくなってしまう為、送信側と受信側で共通の設定条件・・・初期設定・・・に合わせる為の変換設定表=コードブック≠ェ用意されていました。例えエニグマ暗号機を敵に奪取されても、この変換設定表=コードブック≠ェ無ければ、暗号の解読は不可能って事です。二次戦後期になると流石の独軍も防諜度を高める為、まず初期設定の変換パターンで本文解読の為の別の設定パターンを連絡し、それによって変更した上で再度暗号を受信し変換・解読する・・・と言った、手の混んだ暗号通信も行われる様になります。この様なエニグマ暗号機ですが、独軍・・・特に島国の英国に止めを刺すべく実施されていた無制限通商破壊潜水艦戦≠ノ従事していた潜水艦・・・Uボート&泊烽竅A英本土空爆の独空軍戦闘機や爆撃機隊で使用され大きな効果を挙げます。英国向け物資を満載した輸送船団を追尾するUボートが、僚艦を呼び寄せ共同攻撃(狼群戦法)する為に、船団の位置や航路、速度、編成をエニグマ暗号で連絡し・・・名作『Uボート(1981)』の中でもエニグマ暗号機が登場してました・・・またノルウェーやオランダ、フランス国内の各基地を出撃した爆撃隊が、空中で合同する地点を連絡し合ったり、爆撃目標や迎撃兵力の情報を連絡する為に使用しました。さらに独軍のみならず独政府機関(主に大使館や領事館等)でも外交機密の伝達等に使用される様になります。
【エニグマ暗号を解読せよ・・・@ポーランド・フランス編】
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06月04日(水)
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